【怖い話】馬鹿・・・・

 みなさん、どうも。
 SINです。
 剣道の後輩にどうしようもないお調子者がいました。(私が言うのだから相当です)
 こいつはカメラ小僧でもありました。B級アイドルのパンチラ狙ってるうちは良かっ
たのですが、夏になり心霊写真を写そうと思い立ちました。
 飛び降り自殺が多いある団地に出ると聞き、そいつは深夜、その屋上に忍び込みま
した。団地の住民に気付かれぬよう,そっと屋上の出口へ向かいました。厳重に鍵がか
かっていると予想していたそうですが、戸は開いています。後輩は苦もなく屋上へ出ま
した。風の無い蒸し暑い夜でした。
 後輩はポケットウイスキーをちびちびと飲みながら,ときおりシャッターを切ってい
ました。
 小一時間もすると流石に飽きて来ました。そろそろ帰ろうかと思った後輩は背後に強
い視線を感じました。咎めるようなその視線に見つかったのかと振り返ると、入口の所
に赤いワンピースの女性が立っていたそうです。
 一目で生きた人間ではないと思ったそうです。ざわりと鳥肌が立ったのですが、後輩
はカメラを向けようとしました。
 その時、強い力で手を押さえつけられました。
 目の前に瞬時にして,その女性が立っていました。美人であったそうですが、その瞳
は黒い穴に見えたそうです。
 女は後輩の耳元に「馬鹿ね・・・・」と囁きました。ぞっとするほど色っぽい声であった
と言います。
 次の瞬間、美しかった女性の顔は醜く崩れた肉塊となりました。赤いワンピースは実
は血に染まったものでした。
 後輩は卒倒しました。
 倒れていたのは半時間程です。
 団地の役員が見回りに来た所、鍵がかかっているはずの屋上が開いているので慌てて
駆けつけ後輩を見つけたのです。
 罵声を浴びて後輩は団地を後にしました。
 後日、写真を現像して後輩は血の気を失いました。屋上に伸びている自分の姿が映っ
ているのです。無論、団地の役員が写したのではありません。
 後輩は泣きそうな顔で私に言いました。
「先輩。どうしましょう? 幽霊に写真を撮られちゃいましたよ」
 思わず「馬鹿・・・・」と答えました。
 

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