【怖い話】 掴む手
杉山さんのお話
壁から手が出てきた話とかトイレで..とか怖い話がありますよね。
私はそういう事にはとんと疎い暮らしをしてきたのですが、数回そんな思いをした事
があります。
ちょっと以前に会議室で触れた話題でもあるのですが。
厳密には京都の事ではありません。近隣する都市の地下鉄乗り場付近でした。
私は友人と飲んだ後、彼と一緒に地下鉄に乗ろうと急ぎ足に歩いていました。
居酒屋ではすっかり怖い話に花が咲いて(とっても妙な表現ですが....)、結構遅く
なってしまいました。階段を降りようとしたときに私は階段から落ちそうになりまし
た。右足に抵抗を感じたのです。ちょうど足首を捕まれた感覚でした。怖くはなりま
したが、こういう事を人前で口に出すのも憚られるものです。私は気のせいだと自分
に言い聞かせて階段をゆっくりと降りました。その後、再度ホームに登るために階段
を上がるときも、あろうことか地下鉄の車両の中でも足首の違和感がありました。気
のせいか掴む指の感触まで感じるような....。友人と地下鉄で別れた後も、違う電車
に乗り換えた後も、ずっとその感覚は続いたのですが、幸い家の近くで「すっ」とそ
の抵抗感はなくなりました。家までその感覚を持って帰りたくなく、祈るような不安
感があったのを覚えています。
後日、その時に地下鉄で分かれた友人にその事を言いましたら
「あ、地下鉄の階段の所でしょ?」と言い当てられました。
この言葉の方が怖かったりして.....。