【怪談】 視線

 のれんれんさんのお話。


 病院勤めの友達が最近体験したことです。

 個室に入っていた長煩いのお年寄りの患者が亡くなりました。
 かたずけてから、所用で一人友人はその部屋に入ったそうです。
 入った瞬間「あ、空気が違う、冷たい!」と感じたそうですが、
 「気のせい、気のせい」と用事を続けたそうです。

 突然、ぞぞっと背中に悪寒が走り、それでも気のせいにして(笑)
 部屋を出て同僚のいる部屋へ向かいました。
 扉を開けて入ったとたん同僚から
 「ちょっと!つめたい"れいき"を持ってこんといてぇ〜!」と一言。
 同僚は霊感ゼロの人ですが、入ってきた瞬間ぶわっと冷たい風を体感したとか。

 「ただの冷気だといってくれ〜!」と友人はびびりまくりました。
 どうやら何かついてきてしまったようで(^^;;仕方なく元の部屋へと友人は
 足を運び「お願いだから、離れるなりあがるなりして下さい」と
 おがみ置いてきた(つもり)そうです。

 しかしそれからどうも体調が悪い。
 変だなぁ?と思いつつも、友人はそれに悪いモノとかは感じなかったし
患者さんが無念さを残していたとも思えなかったそうだし、
 なんか違う、はて何かしら???と悩んでいたらふとあるイメージが
 頭に入ってきました。
 それは「旦那さんを見つめる奥さんの視線」だったそうです。

 思い当たる事がありました。この患者さんの奥さんは
 ご主人が亡くなった時、大変嘆かれ悲しんでいたとか。
 (奥さんはもちろん生きていらっしゃいます)
 どうやらその強い想いが部屋に残っていたようでした。

 それからすぐに次の患者さんが入室しました。
 部屋はきれいさっぱりその思念が消えていたそうです。

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