【怖い話】鈴の音
ロイデンB さんのお話
どうしても分からなかった怖い体験談を思い出しました。
私の実家は、何度か改装していますが、もともと古い家でした。
昔は中庭があり、私が幼稚園の年長くらいの時にその中庭を潰して、子供の寝室
にしたのです。
いつのことだか覚えていません。小学校の低学年だと思いますが…その事件は
おこりました。
私たち姉妹はその寝室で寝ていました。左の隣室では父母が寝ています。右の
部屋はかなり広い座敷で、縁側、庭と続いていました。座敷の東側には祖父母の
寝室があり、我々の寝室の足元は祖父母の居間でした。
ある夜中、物音で目が覚めました。鈴の音です。遠く…丁度座敷の外の、庭の
方から鈴の音が聞こえます。猫の首に掛かっているような鈴の音ではありません。
誰かが、巡礼か何かで使っているような、人為的な鈴の音。一定間隔で「ちゃりん、
ちゃりん」2、3歩ほど歩いた後で「ちゃりん、ちゃりん」…というような感じ
なんです。それが、玄関の扉も開けずに近寄って来る!もう縁側に来ています。
怖くて布団を被りました。「ちゃりん、ちゃりん」…座敷に入ってきました。
どんどん近くなります。布団の隙間から、父母の部屋を見ました。まだ起きて
いるのか、テレビの光が漏れていますが、鈴の音以外は聞こえません。
「ちゃりん、ちゃりん」とうとう、私たちの寝室に入ってきました!
もう怖くてしっかりと目を閉じました。そこにいるんです。私の布団の横に!
どれくらい時間がたったのかわかりません。鈴の音は私たちの寝室を一回り
して、祖父母の居間を通り、また庭のほうへ遠ざかっていきました。
音が完全にきえてから、私は母を呼びました。やはり起きていた母にさっきの
話をすると、「そんなの聞こえなかった」といいます。不思議なのと怖いのとで
眠れませんでした。
翌朝、そのことを一緒に寝ていた姉に言うと、
「しらなかった。けど、私もこの前、同じ鈴の音を聞いて怖かった」
と言いました。
あれから30年近く経ちますが、ときどきあれはなんだったんだろう、と姉と
首を傾げています。