【怖い話】 ブラインド
みなさん、どうも。
SINです。
「出る!」そう言われるテナントビルがあります。
なんでも中年男の生首が浮遊するのだそうです。
Kさんは見える人でした。怪異な体験も豊富で自衛もかねて宗教的な修行もしてい
た方です。
そのテナントでは、みな残業はさけ、仕事が多ければ自宅に持ち帰っていました。
Kさんはビルそのものに大した霊気はないと感じていたので平気で残業をしていま
した。
ある夜の事です。
「来る!!」
そう感じてKさんは身構えました。
なにか尋常でないものがビルの回り、Kさんがいるフロアを回っています。入って
来ようとしているようです。
Kさんは事務所をぐるりと見回しその配置を強く頭に焼き付けました。
それを念で補強して結界を張ったのです。
その何者かは窓からの進入を試みました。
Kさんの念に弾かれて、それは怒気を孕みました。
力ずくで窓から入ろうとします。
Kさんは念を強めて押し返します。
それは窓は通過したようです。入って来るモノの力と押し返すKさんの力で「メキ
メキ」とブラインドが音を立てます。
やがてそのモノはあきらめたようです。
気配を消しました。
Kさんはどっと倒れて爆睡しました。
翌朝、出社してくる社員達は皆息を飲み、入り口で固まります。
彼らの視線は寝ているKさんに向けられたのではありません。
窓を覆うブラインドです。
ブラインドは巨大な中年男の顔のオブジェとなっていました。