【怪談】 地下鉄
みなさん、どうも。
SINです。
ミルク色の霧の話です。
昨年末。私は心身共に最悪の状態にありました。
その日は仕事を切り上げなんとか地下鉄の最終に間に合いました。
一番前のホームへ行こうと酔客が立ち並ぶのを避けながら前へ移動します。
うつむいて歩いていた私は他の人々の足下をぼんやりと身ながら無意識に避けて歩
いていました。
ふと気づくと自分の足下をミルク色の霧が隠しています。
周囲からは人の気配が完全に消えていました。
(やばいな・・・・・)
そう思いました。
足下の感覚が変わっています。赤い煉瓦を積んだホームです。
地下鉄のホームではなさそうですが、周囲を確認するのは止めました。
方向転換してゆっくり元来た方向を戻ります。
顔は上げません。
周囲を見たら戻れない予感がありました。
元に戻る事だけを念じて歩きました。
不意に雑踏の気配が戻りました。
安堵して顔を上げると、そこは地下鉄の最終駅のホームでした。