【奇妙な話】 行灯取り
みなさん、どうも。
SINです。
他界した祖母は明治生まれでした。高野街道の終点にて江戸時代より旅館を営む家
に生まれたため、今となっては不可思議な怪異が日常であったようです。
よく不思議な話を聞かされました。
その中に行灯取りがあります。
当時は子供も立派な労働力です。ただ遊ばせてはくれません。
ちょっとお使い位はままあるのですが、ちょっとで一山徒歩で越えます。
朝出ても、帰りは日が暮れます。
途中、行灯取りが出る街道があったそうです。
そこは昼間でも薄暗いのですが、陽が落ちると墨を流したような闇となり、自分の
手先も見えなくなるそうです。
行灯が無ければ歩けるものではありません。
ところが困った事にこの行灯の火が、ぼっ、ぼっ、と音を立てて点滅し消え失せる
現象が出るそうです。
地元ではこれを「行灯取り」と言いました。
お使いに行く時は、祖母は経札を数枚渡されたそうです。
行灯がぼっぼっと言い出すと、その札を闇の向こうへ差し出すのです。
すると、闇の向こうから何者かが経札を奪い取るのだそうです。こうする事で行灯
の火は消えずに済むのだと祖母は言っていました。
祖母にとっては怪異ではなく、当時はそうしたものだと言う回顧録でした。
ではでは〜 (^^)/~