【奇妙な話】 裏木戸


 みなさん、どうも。
 SINです。
 私が子供の頃過ごした家は、本来、隣の神社の鎮守の森だったせいか、色々不思議
がありました。
 私の家の縁の下には体調2メートルほどの青大将がいました。
 妙に人慣れしていて抱いてやると、ずしりと重い体重を、子供の腕に体を絡める事
で体重を消し、じっとしてます。
 信じられない話ですが、たまに顔をなめました。
 私は蛇を良く捕まえては殺したりする子供でしたが、この青大将は家を守る蛇と言
われていたので、大事にしていました。
 家人は毎日・玉子を縁の下に置いてました。
 ここは敷地の広大な一角を商社が買い取り20世帯にそれぞれ一戸建ての家を社宅
として割り当てた所です。
 子供がいる家庭用と言う事で、敷地内には広場を設け、砂場やブランコ・滑り台が
ありました。
 でも子供らには親の目が届く広場より、裏の神社の方が面白い遊び場でした。
 団地の敷地の裏木戸を開ければ、そこは神社です。
 浜辺の神社にも関わらず清水が湧く池がありました。(池は今はもうありません)
 ある日、神社へ遊びへ行くべく私が木戸を開けた所、そこには見知らぬ景色が広が
り息を飲んだ事があります。
 見渡すばかりの草原。
 それも、非常に高地の草原を思わせます。
 あちこちに黒い巨石が顔を出しています。
 日本の光景に見えません。
 その証拠に、草原のはるか向こうの森は亜熱帯のものを想起させます。
 呆然としていると、そのジャングルのような森からゆったりと茶色い猫が出て来ま
した。
 茶色い猫。それははるか向こうにいてその大きさに見えるのです。
 今にして思えばピューマのようでした。
 それは、ゆっくりと顔をこちらに向け、明らかに私を見ました。
 バン!
 私は木戸を閉じました。
 しばらく深呼吸して息を整えます。
 人を呼ぼうとは思いませんでした。
 その当時から、自分の回りで起こる怪異をいちいち騒ぎたてても意味がない事を知
っていました。
 落ち着いてから、もう一度、木戸を開けました。
 そこは池が広がるいつもの神社の敷地でした。
 安心して私は遊びに出かけました。

 あの時の現象がなんだったのか、未だに良く分かりません。

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