【怖い話】 トンマな幽霊

 健康法師さんのお話


とんまな人の話がでてきたので、フェアを期すためにトンマな幽霊の話を
一つ。

春のまだ肌寒い3月のころ、千葉の外房をドライブして誰もいない海水浴場の
浜に何人かの人と一緒に降り立ったところ、そこに扉や窓を板と釘で打ちつけ
た海の家がありました。しばらくボワーっと海を見ていたら、仲間の一人が青
ざめてやってきて、その無人の海の家の中から女の声が聞こえたと言ってきま
した。どれどれとみんなで行ってみたら、確かに妙な雰囲気が漂っていました。
確かに、中からカサカサとも女の声ともつかぬ声がしました。まさか昨年の夏
から釘つけになっている海の家の中に生きた人間がいるとも思えず、だからと
いって死んだ人間がいるなら余計かかわり合いにならぬ方がよいと思いました。
もっとも、それが幽霊の声であるかどうかは確かめるべくもなく、ただそう思
いこんでいるだけである可能性もありました。

私は、そこで仲間に「コリン・ウィルソンによると、本当の幽霊は話しかけて
きたり、こちらにレスポンスを求めるようなアクションは起こさないんだ。出
て来るときはこちらに対して知らんふりをして現われるんだ」といいました。
そうしたら、釘が打たれて閉まっている筈の裏口から人影が一人出てきて足早
にいなくなってしまいました。これには呆れましたが、「幽霊って結構単純な
んだ」と認識した次第。

 

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