【怖い話】 遅刻
白石さんの話
注)この話、怖くないです。ただ、チョット不思議だったので…(笑)
ある夏の夜、いつもは布団に入って30分もしないうちに寝ついてしまう私が、
寝つけずに、うつらうつらとしていたました。
私の家族はクーラーが嫌いで、部屋のドアを開け放しにしていつも寝ているんです。
そうすると、ドアが見える位置に頭を向けて寝る私の左側には、
やはりドアが開いて丸見えの弟の部屋が視界に入ります。
一度、神主の孫娘である友達が家にきた時、
「弟くんの部屋から、あんたの部屋に向って通り道になってるよ」
と、言われたことがあるんですよね…
でも、十数年近くも同じ部屋で生活していると、そんなことは気になりません。
何かあっても無視するコトにしています。
いつもなら気にも止めない弟の部屋…
何故でしょう、昨日の夜はボ〜ッと弟の部屋をを見つめていたんです…
外の街頭の明かりで、少しばかり家具の輪郭が浮かび上がっているだけの、弟の部
屋…
「とたどたとたどたとたどた…」
「…ん?」
「とたどたとたどたとたどた…」
弟の部屋の方向から、体長40センチくらいの塊が走ってきます…
それはものすごいスピードで…
その瞬間、背中をざくざくとした感覚が走りぬけていきました。
塊はなおも、私に向って走ってきます…
そして…
「(明るく)私、市松の…なの」
「…」の部分は定かではありませんが、
たぶん私に気がついて名乗りでもしてくれたのでしょう。(?)
紺の羽織と言うのでしょうか…それを着て、
緑色の袴をはき、髪を結った市松人形が私に喋りかけながら
走ってくるんです。
普通ならこう言う時、「来るなぁ!!!」とか、思うんでしょうけど…
私はその時なにも考えられず、ただひたすら早く通りすぎてくれる事を
祈っていました。
何故なら市松人形さんがものすごく急いでいる事が
直感で分かったからです。
彼(もしくは彼女?)は、私の上を駆け抜けたと思うと、
なぜか私のほうにひき帰して来たんです。
そして、「間違った、こっちだ…」
みたいな言葉を残して、また私の上を通りすぎていきました。
しばらくざくざくした感じが抜けず、
金縛りのようになってしまいましたが、どうしてでしょうか…
私は「もういや…ま、でも…良かったんだなぁ…」と思うと、
すぐに眠ってしまいました。
今朝、友達にその話をしたところ…
友)「その子、たぶん五山の送り火に間に合わなかったんじゃないの?」
私)「あ、そう言えば市内のほうに向っていったわ」
友)「あんたの家、近道だから〜(笑)」
私)「あ、そうなんだ〜ははは〜(突っ込む気力も無い)」
そう、昨日は市内で五山の送り火が行われていた日でした。
私の家は、京都市内から1時間ほどの所にあります。
前日は8月16日、五山の送り火。
お盆で「こちら側」に帰ってきた霊魂が、霊魂は舞上がる煙と共に
「あちら側」へ帰って行く日…
彼(もしくは彼女)は五山の送り火に遅れた
男の子の霊魂だったんでしょうか…
変な話でしょ〜
錯覚って事で片付けときましょう。