【怖い話】 影2題
Sさんのお話
日中見る太陽を自分の体が遮る事で出来る影と、夜薄明かり(大抵は月や街灯)
で出来る影って、ちょっと雰囲気違いませんか?
今回はそういうお話をいくつか。
(そのいち)
私が吉祥院の団地に住んできた頃でした。
高校生だった私はクラブ活動が終わるとアルバイトをしていましたので、家に
帰り着くのはいつも真っ暗になってからの事が多かったのです。
その日もいつもの様にバイクをしまおうと、暗い自転車倉庫の中に入って行
きました。ここは真っ暗な癖に電気が点かないので、開け放した入り口からの
明かりで作業するしかありません。
さて、バイクのスタンドを立てて、ふと壁に目をやった私は自分の影が壁に2
つ映っているのに気が付きました。向こうの方には街灯等もありますので、こ
れは良くある事です。
でも、右側の影は私が動いても手を挙げても、ちっとも動いてくれないのでし
た。でも、やはり私の脚からつながっているのです。
何だか良く分からなかったのですが、取りあえず後ずさりして家に戻りまし
た。
(そのに)
大学生の頃です。
中古のぼろいでも愛着のある車をその夜も運転していました。
七条通りを運転していた私は信号で止まりました。
車の影が道に映っているのですが、私は何だか違和感を覚えました。
つまり、運転席に私の影がないのでした。