【怖い話】 見返りの木
Tさんのお話
みなさん、こんにちは。
今回は、私の友人から聴いた「ちょっと信じられないような話」です。
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友人の従兄とその友達の合計5人が(男ばっかり)2台の車に乗って、
北海道を旅行していました。
従兄は、3人乗っていた方の車の、後部座席に位置していました。
その車の前を、2人乗っている方の車が走っていました。
北海道のどこの場所かは知らないのですが、
地元の人達から「見返りの木」と呼ばれている、一本の大木がある所があり、
その木を間に挟むような形で、道が二股に分かれているらしいのです。
「見返りの木」と呼ばれている訳は、その道を通る時、
“絶対に、その木を振返って見てはいけない。もし破ると大変な事が起こる”
と、地元の人々から言われているからだとか・・・。
彼等はそのウワサを知っていたらしく、その「見返りの木」が近づいて来た頃、
「お、そろそろ例の木だぞ!みんな、振返るなよ!」と騒いでいました。
2台の車は、無事「見返りの木」を通過し、木が見えない所まで走りました。
「ああ〜、振返るなって言われたら、余計振返りたくなるよな〜」と
緊張感が解けた途端に、皆喋り出しましたが、従兄だけが1人黙っている。
そしてポツリと一言「みんな、俺の言う事驚かないでくれよ・・・」
「実は、俺、振り向いてしまった・・・」後部座席にいる彼を前の二人が
振返ると、なんと、その従兄の下半身が透明になって消えてきているでは
ありませんか!!
「うわああああああああああああああああああああっっ!」
あわてて車を止め、あまりの恐ろしさに、二人は逃げ出してしまいました。
何も知らない2人乗りの車の方は、その車を置いて走ってしまっています。
しばらくして、後続の車がいない事に気付いた2人乗りの車は戻ってきました。
そこには、車から逃げ出した2人がブルブル震えてしゃがみ込んでいました。
「どうしたん?」と聞くと、「アイツが「見返りの木」を振返ったばっかりに、
消えてしまった。僕らが車へ戻ろうとしたら、車ごと影も形も無くなっていた」
と言うのです。
「車を運転していったのかもしれない。とりあえず、警察呼んで探そう」と
いうことになり、付近をくまなく探したらしいのですが、
友人の従兄は、未だに車共々見つかっていないらしいのです。
警察では「蒸発事件」と考えられていて、今でも「尋ね人」のポスターに
従兄の写真が乗っているそうです。