【奇妙な話】 見た
Nさんのお話
うちの母校は「古いだけが取り柄」の二流高校で、怪談を探さなくても
ゴロゴロ幽霊話が耳に入って来るようなトコロでした。
また当時私が所属していた漫画研究会は同期12〜13人中9人以上が
霊体験の持ち主だったせいか、部活中「昨夜、金縛ってる時になぁ・・・」
という話題が普通に聞けたものでありました(^_^;;;。
そんな日常を送っていると特に霊感の無いメンツも、敏感になる事が
多いようで・・・(笑)。「霊感皆無」と断言していた私の数少ないお話など。
高校2年の3学期の期末試験の真っ最中の事。
明日の科目の勉強をしようと、試験後に漫研の友人達と図書室に行ったのですが
鍵が閉まっていたんで、廊下で立ち話していました。特別教室ばかりの
古いモルタル校舎は結構静かで、私たちの馬鹿話と笑い声が響いてました(^_^;。
図書室は校舎の角。私と友人達が立ち話していた廊下の角を曲がると先に教室が1つ
更に奥、突き当たりに音楽室がありました。
気がつくと私の視界の隅・音楽室の前の廊下の窓に、一人の少年が
座っているのが見えました。話に夢中になっていた私は気に留めず、
喋っていたのですが、その少年が窓から廊下へと飛び降りて階段の方へ
小走りで向かった時、ハッ・・・としました。
目の前で、向かい側に立っていたY子が驚いたような顔で
私を見ています。衝動的に私とY子は先の階段へ走りました。
・・・そこには、まぁ・・・誰もいませんでしたけど(^_^;。
「・・・・見たよなぁ。」
「うん。男の子。窓に座ってたなぁ。」
「半袖の白カッターで、髪ちょっと長いストレートで・・・。」
「うんうん。白のスニーカー履いた、細身の。」
この時、既に午後2時頃。この古いモルタル校舎には私たち以外誰もいません。
大体三学期末の試験中の高校に、半袖の中学少年がいるわけがない(笑)。
いたとしたら、その階段から人が上がって以外考えられないんですが
廊下の角に立ってそちらを向いていた人間が誰一人、廊下の窓に座る
人間に気つかないのは妙ですしね(^_^;。
・・・戻って確認したけど、少年を見たのは、私とY子だけでした(^_^;;;。
「中学の夏服みたいやったけど、なんで・・・ここにおったんやろ?」
帰り道、自転車で走りながら、私とY子はそんな話しました。
しかし・・・通りすがりだったようで、この少年を後日校内で見掛ける事は
全く有りませんでした。
私がこの話を忘れられない理由は、Y子と私の共通の目撃体験だからです。
誰かと一緒に「見た」っていう共通体験は、少ないものですから(笑)。