【奇妙な話】 夢枕

 Tさんのお話

  ある朝、私が目を覚ました頃に私の父親が、私の母親に何やら言っていた
 のです。 よく聞いてみますと、
「わしの夢の中に、わしの母親が出てきてなぁ。こんな事言うていたんや。」
 と言って、次のように説明してました。
 「かっちゃん(父親の母親(私のお婆さん)は父親をこう呼んでいたらしい)、
  かっちゃん、お水が飲めへんねん。お水が欲しいてかなわへんのんや。喉が
  渇いてんねんけど、お水が飲めへんからしょうがないんや。早よお水頂戴。
  早よお水飲めるようにしてぇな。」
 と、妙に生々しいはっきりとした言葉を聞き、姿を見たと言うことです。
 そして、
 「はよお水飲めるようにしてぇな。てっとこに、気になってしょうがないわ。」
 「この言葉の意味がひょっとして、お墓になんかあったんやろか。
  わし、ちょっと行って見てくるわ。」
 と言って、その日父親は会社を休んでまで、お墓参りを兼ねて出かけました。
 私は、一緒に行こかっと言ったら、「お前は、学校へ行け」って軽くあしらわれて
 しまいました。 (^^;

  そうすると、お墓にはお水を入れて、葉っぱを一枚ちぎって浮かべておく所の
 お水受けの所がありますよね。お墓の真ん中に当たる所に。そこが、真ん中から、
 その下にかけて、ひびが入ってパックリと割れていたのです。そして案の定、
 お水が下へ流れ出て、お水受けの所が乾き切っていたということでした。
 早速、修繕をしたのですが、
 「こんなことって、本当にあるんやな。」
 と、言ってました。

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