【奇妙な話:雲の人】
Rさんのお話
私が小学校低学年の頃の話です。
秋だったと思います。その時私は父親と散歩の帰り、家のそばを手をひかれて歩い
ていました。日暮れにはまだ間があり、気持ちのいい青空が広がっていました。何気
なく空を眺めていると雲がすーっと集まり人の形になったのです。空いっぱいの大き
な人はつば広の帽子をかぶり書類かばんをさげ、スーツを着た男の人にみえました。
どこかコミカルな印象を受けたのを覚えています。あれっと思う間にその人は2〜3
歩早足で歩き瞬く間にかききえるようにもとの雲にもどってしまいました。最も横の
父にうったえても笑ってとりあってくれませんでしたが。