【奇妙な話:天女】
天女を見た事がある。
正気を疑われる話だが、事実なのだから仕方がない。
今から20年ほど前。高野龍神スカイラインが有料だった頃の話だ。私はスポーツバイクにのめり込んでいた。
愛車は初代VT250。リミッターなんかついていないから8000回転を越えると化け物ように走るバイクだった。
峠攻めの基本だと思うのだが、攻める前にまずゆっくりと流して路面状況を把握しておく必要がある。オイルや
砂などが道路にこぼれていたら大変だ。
私はゆっくりと高野口から龍神村に向けてバイクを走らせていた。
護摩壇山の入り口の看板が見えた。
妙に気になったのでバイクを止めて山道を見上げた。普段はバイクで走ることしか考えていなかったので護摩
壇山には登った事がない。確か、空海が護摩壇を行った山だったはずだ。
「登ってみるか・・・・」
一人呟き登ってみた。人気はない。オフロードバイクが坂を下った後があったが、大分前のものだ。頂上までは
すぐだった。見晴らしが良い。
まったりと山並みを見るのも良いものだなぁと思っていると、なにやら良い香りがしてきた。白檀の香りに似ていた。
晴れ渡った空から香りは漂う。東の空から一塊の雲が近づいて来る。淡い紫色の雲で上部が桃色をしている。
綺麗な雲だなと思っていると、美しい調べが聞こえて来る。
良く見ると雲の上に八人の天女が舞っている。それぞれが楽器を持ち調律している感じだった。だが、この天女。
一糸もまとわぬ姿なのだ。(^^;
当時の私が欲求不満だったわけではない。(本当だってば・・・・・)
全裸の天女は護摩檀山の上でゆっくり廻り一曲奏でると高野山へと飛んでいった。
もう少し鑑賞したかった・・・・・(。_゚☆\
ベキバキ)