【奇妙な話】携帯

はじめまして、HACOと申します。
こんなので良かったら載せてもらえたら嬉しいです。
私自身はまったく霊感などないと思っています。
唯一の私の身に起こった不思議な話です。

私の家族の話しです。
私は今、実家で父親と二人で暮らしていますが、私には
少し離れたところに住んでいる弟Tがいます。弟Tはす
でに結婚していて、月に2回くらい実家へ夫婦そろって遊
びに来ていました。

今年の3月の初めくらいの日曜日のこと、いつものように
弟夫婦はウチに遊びに来ていました。
義理の妹(Sちゃん)は妊婦でそのときは妊娠7ヶ月くら
いでした。そして夜10時くらいには帰り、私と父親は玄
関先で二人の乗った車を見送って家に入りました。

それから30分くらい経って、父親が眠りについた頃、そ
して私がそろそろお風呂にでも入ろうと思ったとき、家
の電話が鳴りました。今はみんなが携帯を持っているの
で、あまり夜に家の電話が鳴るということはめったにな
いのですが、私は自分の部屋に子機を置いていないので
すぐに気づかず、父親が電話の音で起きて受話器を取り
ました。私宛に義理の妹からでした。
父親が私を呼び、子機を受け取り電話に出てみると義理
の妹のSちゃんが、
「お姉ちゃん、今さっき私の携帯に電話しました?」
と少し怯えたような声で言うのです。

Sちゃんは普段から少し天然っぽい感じの子なのであま
り気にもとめずに
「え?電話なんてしてないよー。なんで?間違い電話で
もあったの?」
私はそんな感じで答えるとSちゃんは
「そうですよね。じゃあいいんです。」
と言って電話を切った。

それから10分ほどして、また電話が鳴った。私は、
またSちゃんかな?と思いながら電話に出た。
やはり電話はSちゃんからで、彼女は先ほど起こった
ことを説明してくれた。最初、説明を聞いてもすぐに飲
み込めなかったのだが、解かった瞬間ちょっと寒気がし
た。

それはこうである。
実家を車で出てしばらく走ったところでSちゃんの携帯
電話が鳴った。Sちゃんが電話に出ようとして着信番号
を見ると、それは隣で運転しているはずの弟Tの番号か
らの着信だったのだ。
Sちゃんはとっさに

あ、Tが実家に携帯電話を置き忘れていったんだ。(ま
あ弟Tはおっちょこちょいで実家に電話を忘れたり、カ
バンを忘れたり今までにも何回かあったのだ。)で、お
姉ちゃんがTの携帯から電話をしてきてくれてるんだわ


と思ったのだ。そして電話に出るとSちゃんは一方的に
私だと思い込み
「あ、お姉ちゃん。Tが電話を忘れていったんですよね
?すぐに戻って取りに行きます。すいませんねー」

というと電話の相手は
「はーーい」
と言ってSちゃんは電話を切ったのだ。そしてTに
「なんか実家に電話忘れてきてるみたいだよ、今お姉ち
ゃんから電話だった。」
というとTは
「え?!俺、携帯電話、自分のポケットに入ってるよ」
「でもあなたの電話からの着信だったよ」
とSちゃんは着信履歴の画面をTに見せた。
Tも自分の携帯の発信履歴を見ると、Sちゃんが受信し
た時間とまったく同じ時間で、Sちゃんの携帯へ電話を
かけたことになっていた。

そこで二人は凍り付いて、私に電話をしてきたのだとい
う。「はーーい」の声は私にそっくりだったらしい。
そこで私たちは、電話の主はおそらく11年前に亡くなっ
たお母さんではないか?それしか考えられないね。とい
う結論になった。私は、きっと母がもうすぐ孫を産んで
くれるSちゃんのことを気にかけていて、気をつけなさ
いよ、というメッセージを送ってくれているような気が
したのだ。

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