【怖い話】怒号

 hanaさんからの投稿

 6,7年前に現在の家を購入したのですが、なんというか夜中に限らず、昼間でも一人
ではいたくない雰囲気の家でした。
 当時は家を購入したにも関わらず、ちょっとした事情でその家には住まず、古いほうの
家に住んでいたのですが、2,3年前からようやく新しい方の家に引っ越してきました。
(といっても私は大学進学のため一人暮らしを始めていたので、その家にはたまに帰省し
た時に泊まるぐらいでしたが)
 当時高校生で春休み中の弟は、昼夜逆転の生活をしていて、お昼誰もいない家で目覚め
ることが多かったそうです。

 ある日弟が「ねーちゃん、この家なんかおらん?」といきなりたずねてきました。
「は?なんで?確かになんかいそうな雰囲気はあるけど・・・」と返すと、「なんか二階
で寝てたら急に金縛りにあって、誰かが階段上がって来る気配がしたと思ったら、女の顔
がそこから覗いてた」と、顔が現れた場所を指差しながら言いました。
 そのときは自分自身が怖いのもあって、「朝日を浴びてないからそんな夢見るんだよ」
と適当に流しました。
 ところが今年、そういう怖い関係にかなり鈍感な母までも「hanaちゃん、なんかあの
家でみたことある?」とたずねてきました。
「え、なんで?S(弟)に何か言われたの?」と返すと、
「何も聞いてないよ。ただ、前部屋で寝てたら急に金縛りにあって、お経聞こえてきて女
の人が見えた・・かも」
 とか言い出したので、さすがにちょっと怖くなりました。
 今、母が使っているのは、数年前弟が使っていた部屋で、女の人が見えたとかいう例の部屋だったのです。
「う〜ん、まあ、今のとこ金縛りぐらいしか実害ないんだったらほっといていいんちゃう
かな」
 自分に害がないので、発言も軽いです。
 母も疲れてたからだということで納得して、その会話は終わりました。
 しかし、後で弟に「お母さんがこんな体験したんやって」と言うと、「俺なんかお経が
聞こえて、しかも文字として浮かぶの見えた。ちなみに男の声」とか言われて、「やっぱ
り何かいるのかな・・」という気になりました。
 それから1ヵ月後、自分の部屋でカビキラーを大量にこぼしてしまい、このままこの部
屋で寝たらちょっとヤバイな〜と感じた私は、仕方なく件の母の部屋に避難することにし
ました。
(なんか出たらイヤやなぁ)と思いながら寝たら、その日は無事に済みました。
 問題は次の日です。
 あきらかに昨日と雰囲気が違います。
 何かの気配があるのが明らかにわかります。姿は見えませんが・・

 ぱきぱき かさかさ

 気配のする方向から不思議な物音が聞こえてきます。
 ちょっと助けを求めるように母を見ると、母はとっくに夢の中のようです。
 ホント鈍感!
 私も覚悟をきめて寝ることにしました。

 ぱきぱき かさかさ

 寝れません。
 台所からクッキングソルトを持ってきて盛り塩を置きました。
 さあ寝よう。

 夜中にふと目が覚めました。

 ぎし ぎし ぎし

 何者かがこちらに向かって歩いてきているようです。
 気配と足音が確実にこちらに向かってきます。
(なんでなんで〜??!!盛り塩効かんやん!!←(そりゃクッキングソルトじゃ無理ですよね・・))半分パニック、半分キレながら思いました。
 いつのまにか気配は枕元まで来ています。

 ぷちっ

 私の中の何かが切れました。

「どっか行かんかい!!出ていかんかったら殺すぞ!!」(←ここで相手が死んでること
に気づく)
「死んでても殺すぞ!!このボケ〜!!!」
 妙ななことを叫んでいました。
 それと同時に枕もとにあった足をつかみ、引きずってたこ殴り(寝た体勢で)。。
 おもいっきり何回も。。ちゃんと殴った感触がありました。ゴムみたいな感じでした。

その後記憶がなく、起きたら万歳していました。

 一応それ以来我が家の居心地の悪い雰囲気は和らぎ、母の部屋の気配もなくなったよう
に思います。

 姿をはっきり見たわけではないので気のせいと言われればそれまでなのですが、とりあ
えず今回一番の恐怖は、深夜の住宅地に私の怒号が響きわたったことですか。。。

※庵主注:人間気合いですね(^ー^)b

怖い話Index