【怖い話】自殺はダメ!
@まろにさんのパリからの投稿
2年ほど前の話です。
とても仲良くしていた友人が、自殺をしました。
30歳のまだまだこれから、と言う時でしたので、悔しいのと悲しいのとで、かなり
落ち込みました。
彼女の両親がパリに遺体を引き取りにいらっしゃいましたが、こんな形でご両親に対
面するなんてつらかったです。
司法解剖が終わり、パリでのお葬式をし、出棺も終わり、明日には彼女は日本へと戻
る、という日の夜のことです。悲しみでしばらく眠れなかったのと、ご両親に付き
添っていて疲れたのと、もう彼女は日本へ帰れると安心したのと(こちらでの死でし
たので、遺体をそのまま日本へ運ぶにはいろいろな手続きが必要でした)で、家に
帰ってから、そのままベットにバタンキュー(古い表現ですみません)でした。と
いっても深い眠りではなく、うつらうつらしていました。
私は壁向きにベットに横になっていました。テレビをつけっぱなしにしていて、あ
あ、テレビを切らなくては、と半分覚醒状態でした。そのときです、俗に言う、金縛
り状態になりました。ああ、疲れていたからなぁ、まあ、そのうち動くようになるだ
ろうと思っていたら、首筋に冷たい手が当てられました。うわっ、冷た!と思いまし
た。そして、同時に誰かが私の手を握るのがわかりました。それも控え目に。
怒りの気持ちが起こりました。そうです。その手の感触は彼女のものでした。
「挨拶に来るぐらいなら、死ぬな!」
彼女は、その怒りに気圧されたのか、いなくなってしまい、金縛りも解けました。
後で、あんな風に怒らなければ良かったかも、と後悔しました。
自然死ではなかったので、解剖をしなくてはいけなくて、1週間ほど監察医のところ
で冷蔵庫に入れられていたから、手も冷たくなっていたのかもしれません。寂しかっ
たのかもしれません。
日本に遺体が帰ってからも、時々彼女は私の家に遊びに来ていました。彼女の吸って
いたマルボロの臭いがよくしていたものです。ああ、まだ日本に帰れてないんだ、
と。
自殺した人は自縛霊になると聞いたことがありますが、彼女はまだパリに縛られてい
るのでしょうか、それだったら、悲しいです。彼女なりの自由を求めて死を選んだの
かもしれませんが、自縛霊になるためだったのなら、残された者はつらいです。
今では彼女の存在を感じることは無くなりましたが、まだどこかで迷っているのかも
しれません。