【怖い話】眠っている間に

 みゅうみゅうさんからの投稿。

これは、何年も前に、職場の友人2人とアメリカに旅行して、L.A.の○ル○ンホテルに宿泊した時の話です。

ある夜、あとの二人はもう眠っていたのですが、荷物の片付けに手間取っていた私が最後に部屋の電気を消しました。
川の字に並んだベッドの、一番ドア寄りに私が、真ん中にTちゃんが、奥にYちゃんが寝ていたのですが、久々に金縛りにあったのです。
身動きができない私の枕元で、女が日本語でなにやらぶつぶつ言っているのです。
(日本語ということは判るが、何を喋っているのかは判らない状態です。少し昔の日系移民のようで、しかも、何体かが合体しようなキツイ金縛りでした。他の場所でも感じたことですが、海外で亡くなった、日本人や日系人の霊は、日本語や日本人に敏感に反応するようです。)

”必死でとった長期休暇でせっかくアメリカ旅行を楽しんでいるのに、なぜ金縛りにあわなくちゃイケない!”
”それも、なぜ日本語なんだ〜!ここはアメリカだ〜!”
ふつふつと怒りがこみ上げてきて、般若心経と気合で、今までの最短記録で金縛りを解くことができました。

ヤレヤレ・・・、お守りを枕の下に入れて寝なおすか〜!
タチの悪そうなヤツだったしな・・・
フット・ライトを点けて、お守りをとりに荷物の方へ歩きかけた時です。
(旅行の時は、一応お守りは持って行きますので。)
それまで、静かに寝息をたてていた、隣のベッドのTちゃんがうなされ始めたのです。

「う・・・ん、う・・・ん」
かなり苦しそうな表情です。

”ヒャ〜、隣に移動したのか〜? うそでしょ〜!寝てる人に取り憑いてどうすんだよ〜!” 
けれど、大声を出して、端で寝ているYちゃんまで起こすわけにいかないので、小声で隣に声をかけました。
「Tちゃん、起きてよ!Tちゃん!」
でも、小声では目が覚めず、20分ほど声をかけ続けたでしょうか。
やっと、うなり声が聞こえなくなったので、私も声をかけるのを止めて眠りました。
(実はまだ、表情は少し苦しそうだったのですが・・・)
結局、最後まで彼女は起きませんでした・・・。

翌朝、チクッと”良心?”が痛んだので、Tちゃんに尋ねました。
私   : ”おはよう! 昨日疲れていたようだけど、良く眠れた?”
Tちゃん: ”うん、疲れは少し残っているけれど、良く眠れたよ!”

Tちゃんは、昨夜の事は全く覚えていないようでした。
この話は、Tちゃんにも、Yちゃんにも、一度も話していません。

私は ”ひどい奴” でしょうか?
でも、私は自分の金縛りを解くのがせいぜいの、ほとんど普通の人間なのです。

あのとき、大声を出してTちゃんだけでなくYちゃんまで起こし、部屋の電気を全部点けた後、その状況を二人に説明する勇気は私には無かったのです・・・。

Tちゃん、あの時疲れが残ったのは、あの霊に短時間だけれど取り憑かれたせいだよ。でもそれを言えなかったよ。
ごめんね・・・。

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