【怖い話】鍵

 同じく伶さんの投稿。

もうひとつ、私自身の体験談です。
中学1年生の文化祭で、友人達と出し物をやりました。
その準備の為に、朝一番に登校することになりました。
後々の事に関連する為、前日の帰宅は私がクラスで最後になり、完全に教室の整頓・
戸締りをしたことを記します。
学校は7時半にならないと開錠しなかったので、その時間に集合することになりまし
た。
私が7時20分頃に登校すると、まだ誰も来ておらず、
ふと扉を押すと内側から施錠する鍵が開いていました。
遅刻しがちな私がもう来ているくらいなのだから、皆教室へ行ったのだろう。
そう思い、上履きに履き替えて、3階にある教室へいそいそ向かいました。
2階から3階へ上がる時のことです。
上の階から人の、それも大勢の気配がするのです。
ああ、やはり皆先に来ていたんだ!!
と足を急がせると、階段を上がりきった頃に、ボソボソと話し声が聞こえてきまし
た。
それは、中学生というより大人の男性が話しているような低い声でした。
言葉は明瞭ではないものの、何か相談事をしているような印象を受けました。
私の学校は『王』の字型の後者で、真ん中の線の左部分に私の教室はありました。
階段を上りきってから少し進まないと、教室は見えません。
話し声を不審に思ったので、出来るだけ静かに近づきました。
すると、声は大きく聞こえるのに、やはり内容は聞き取れない。
腕っ節に自信のあった私は、不審者がいるのなら取り押さえるつもりでした。
しかし、戸締りをした筈の廊下側の窓は全部開いているのに、中の人影は見当たらな
い。
おかしい、これは・・・人じゃないかも。
そう思い、階段を2階まで戻り、今度はバタバタと足音を盛大に立てて駆け上がりま
した。
勢いをつけ、教室に入る前に「ごめんごめん、また遅刻した〜!!」と叫び(なかば
怒号)、
教室に飛び込むと・・・。
ざあぁっと『何か』が一斉にベランダ側の窓から出て行く気配を感じました。
律儀というか、窓もベランダへの扉も全開でしたが(苦笑)、整頓した筈の机椅子はぐ
ちゃぐちゃ。
慌てて立ち去ったという風情でした。
怖いよりもむかっ腹が立った私は、「勝手にうちのクラスに入ってくんな!座んな!
片付けて帰れ!」と外に怒鳴り、
素早く戸締りをし、一気に階段を1階まで駆け下り校舎を出ようとしました。
すると、入ってきたはずの扉の向こうで、毎日学校一番乗りの級友Hが扉を叩いてい
ます。
H 「開けてよ〜」
私「はぁ?鍵開いとるやろ」
H 「開いとらんもん」
確かに、開いていた筈の鍵が閉まっています。
彼を中に入れ、先程の体験を話していると、職員室の方から人がやってきました。
確か用務員のおじさんだったと思うのですが、どうやって入ったのかと尋ねました。

用務員さんは、今着いたばかりだったのです。
時間は7時半、ちょうど。
用務員さんは職員玄関からはいりますし、前日もきちんと戸締りをしていましたの
で、鍵が開いている訳なかったのです。
流石に怖くなった私は事情を話し、用務員さんは見回りをすることになりました。
誰も校舎内にいなかったそうですが・・・
それから友人達がやっと登校してきましたが、練習どころではありませんでした。
それ以来、私は早い時間に登校しなくなりました。
というか、遅刻の常習犯になりました(笑)。

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