【不思議な話】天狗を見た
息子の話である。
息子は幼い頃から霊が見えたようだ。
確かに幼少時は霊に怯えて私に縋り付くことがあった。
妹達が霊の話をしている所、「そう言えば、天狗見てから、見えなくなったなぁ〜」と呟いた。
私は訊いた「天狗とは何のことだ?」
聞くと、妻の実家(神戸市須磨区妙法寺)で、天狗を見てから霊が見えなくなったと答える。
「どんな天狗だった?」
そう尋ねると
「良く覚えていないんだ」
そう答える。
要領を得ない。
突き詰めると、天狗を見たと言う記憶は強くあるのだが、その容貌、見た場所、状況など綺麗に
記憶から消えていると言う。
ただ、天狗を見たのは事実で、それ以来、霊を見なくなったのは事実だと言う。
妻の実家は六甲登山ルートの最終地点にあたり、少し山へ登ると砂岩が剥き出しの景観に変わる。
登山道には看板があり、昔、天狗が棲んでいた伝承が記されている。