【怖い話:釣り竿】

 白石さんからの投稿。

 私の父から聞いた話です。

 父が友人のAさんと筏のチヌ釣りに出かけた時の事。
 二人していつも通り、三重の行きつけの(笑)筏で釣りをしておりました。
 しばらくするとAさんのケイタイに一本の電話が。
 それはAさんの釣りの師匠からでした。

『なんや、今、お前も三重に来てるんかいな?
わしなぁ、○○の筏でおっきいの釣ったんやで!!
近くの筏やし、もしかすると帰りに落ち合えるかもしれへんなぁ…あえたらいいなぁ』
 それが師匠の最後の言葉でした。Aさんとの会話が終わり電話を切った後、師匠は筏
の上で心筋梗塞の発作に襲われてしまい、そのまま海へ落ちてしまわれました。周りに
居合わせた釣り人が慌てて海から引き上げたものの、心筋の発作が直接の原因となって
即死だったそうです。師匠の突然の不幸に、Aさんは愕然としていたそうです。
 それから一ヵ月後、Aさんは師匠が最後に釣りをしていた筏に弔い釣りへ出かけまし
た。なんとなく、師匠が座っていただろうなと思った場所へ座り、釣り糸をたらしまし
た。第一投目。Aさんが吊り上げたのは、師匠の釣竿だったそうです。海流にもまけず、
師匠は1ヶ月間…待っていてくれたのですね。

※なんとなくもの悲しいお話ですね。(by慎)

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