【怖い話:鎧武者】

 初めまして、莉愛と申します。
 怖い話が大好きで、先日こちらを知りそれからちょくちょくおじゃまさせていただいて
います。

 私も子供のころに一度フシギな体験をしましたので、ぜひお話させてください。

 あれは私が小学校の低学年くらいだったと思います。
 当時、母は夕方から夜中にかけて経営していたスナックに毎日出勤しており、
 家には父と兄と私の3人だけでした。
 ある日私は、母が出勤して行った後くらいから急に気分が悪くなり、熱も出てきました。

 父からは風邪かなんかだろう、寝ていれば治るからと言われたのですが
 なんせ小学校の低学年くらいですから、体調の悪いのも手伝って急激に母が恋しくなり
ました。
 いつまでも泣いている私を見るにみかねて、父が車で母を向かえに行ってくれることに
なりました。
 父が出かけた後、母がもうすぐ帰ってくると思うと(店は車ですぐ近くのところだった
ので)安心したのか、
 私はいつの間にか自分の部屋のベッドで眠ってしまっていました。
 どれくらいたったのかしばらくしてふと目が覚めると、母は帰ってきていて私の横で添
い寝してくれていました。
 そして、何気なく隣の兄の部屋へと続くガラス障子の方へと顔を向けたとき、びっくり
しました。
 いつも寝るときはぴったりと閉まっているすりガラスの障子が人一人分が通れるくらい
に開いていて、
 そこから鎧武者が半身を乗り出してこちらを見ているのです。
 兄の部屋からこちらの部屋に向かって一歩だけ踏み出したような感じで、私のの方をず
っと見ています。
 私もしばらく鎧武者の方を見つめていましたが、部屋が暗いため顔のあたりははっきり
と見えませんでした。
 どれくらい見つめていたか、怖いというよりもただフシギな感じで・・・はっと我にか
えって、横で寝ている
 母を起こそうとしました。
『お母さん、兄ちゃんの部屋に誰かおるよ、こっち見よるよ』みたいなことを言ったと思
うのですが、
何故か何度訴えても母は目を開けず、寝ぼけたまま『寝たら居なくなるから寝なさい』と
だけ言われたのを覚えています。
鎧武者はその一歩からこちらに入ってこようとせず、ずっと動かないままなので私も寝た
ら居なくなるかなと
その日は結局そのまま寝てしまいました。
翌朝、起きてすぐに兄の部屋を覗いてみましたが特に変わったところもなく、夢でも見た
のか?と半信半疑でした。

ところが何年かたって、そういえば・・・と母にそのときの話をして、何で起きてくれな
かったのか聞いてみたことがありました。
すると母は私から起こされたことはまったく覚えてなかったのですが、同じくらいの時期
に別の体験をしていたのです。
誰も居ない昼間、居間でうたた寝をしていると突然の息苦しさに目が覚めたそうです。

すると鎧武者が母の首を絞めていたのだとか。
あまりの苦しさにもがき抵抗していると、ふっと目が覚め・・・あぁ、夢だったのかと思
っていたそうです。
夢にしては本当に苦しかったということなのですが、私の見た鎧武者と母の夢(?)の鎧
武者はやはり同じものなのでしょうか。
それ以来、鎧武者を見ることもないので今だフシギでなりません。
ただ、博物館などでたまに本物の鎧が飾ってあるのを見ると、今だにドキっとしてしまい
ます^^;

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