【怖い話】大阪のおばちゃん
すーさんからの投稿。
あれは、去年の七月頃、冬場寒い季節にはバイク通勤をしていますが、季節が良くなっ
てくると自転車で通勤する私。
(ガソリン代も馬鹿にならないですからね…)
その日は仕事で少しトラブルがあり、帰宅時間がいつもより一時間程遅くなりました。
午後10時半頃、いつもの大和川の土手を自転車でえっちらおっちら走っていました。
「はーっ、お腹が空いたなぁ…そういや、今夜、おかず何にするか考えてなかったっけ??」
などと思いながらペダルを漕いでいました。
長い直線道路、ここは自動車が通行禁止なので夜間は人気も少なく自転車で走るにはと
ても快適。
涼しい夜風をきりながら、ふと、前方の近鉄南大阪線の踏切りに目をやりました。
街灯が白く光り、踏切を照らしています。
普段ならジョギングをしている人やウォーキングをしている人がここの踏切に設置され
ている鉄柵で息を整える為に小休止をされたりしている場所でもあります。
今夜も、街灯の下で私から見ると背中を向けて立っている男性の姿が見えました。
あまり視力の良くない私は、あ、人が立ってるなー位にぼんやりと考えておりました。
私の自動車が踏切にさしかかると遮断機が降りてきて、警報音が鳴り響きました。
ブレーキをかけ、踏切で停止すると街灯の下に立ってる人の姿が透けて見えるのです。
げげげっ!! もしかしてあの世の人??などと思っているとその男性がゆっくりとこ
ちらに振り向こうとしています。
そして、私に
「く、苦しい、痛い、何でわしだけこんな目に。お前、わしが見えるんか?わしと一緒に
来てくれや!」
と言うのです。
私は思わず、イラッとし、「おのれ勝手に親からもうた命、粗末にしやがって! それ
で、まだ道連れ欲しいてか?なめとんやないど!お前なんかの事より、うちは今晩のおか
ずの方が心配じゃ!とっとといねっ!!」
と、暴言を吐いてしまいました。
お腹がぺこぺこに減っていると人間、気が短くなるようです。
すると、幽霊の男性は
「すんません、すんません、もう、いにます」
と、すうっとくるぶしの辺りからじょじょに掻き消えていきました。
「あー、顔、見ぃへんかって良かったぁ。恐かった。」
と、ほっと一息つきつつ自宅へと家路を急ぎました。家に辿り着き、急ぎ夕食の支度を
整え、主人に
「さっきさあ、これこれしかじか…」
と会話していましたら、思いっきり笑われ、
「大阪のおばはんには幽霊さんもかなわんなぁ。そういえば『オレオレ詐欺』に日本で一
番引っ掛かりにくいのも大阪のおばはんらしいでー」
との事。
自分ではまだまだ若いと思っていましたが(この辺がもうすでにオバチャン症候群!?)
その日の夜は、幽霊を見たことより、自分の大阪のオバチャン度にショックを受けた私
でした…