【怖い話】ミステリースポット

 毎度、おなじみ。すーさんのお話。
 警鐘としてお読みください。

 今日、お話しようと思う事は、私の今までの人生で一番後悔しているお話です。あれば20
年程前の夏の熱い夜の事でした。
 我が家にて、主人と主人の友人、F君とM君と私と4人で飲んでいた時です。
 夜、7時頃から飲み始め、いいかげん酔いが回って来た頃にお定まりの怪談に花を咲か
せていました。
 私は下戸で飲まないのですが、皆が楽しくわいわいと騒ぐ雰囲気が好きで一緒に恐い話
に混ざっていました。
 するとM君が
「なぁ、これから話す事は、前に『探偵ナイトスクープ』で北野誠が取材に行ったんやけ
ど、あんまりにもヤバイんで取材も放送も禁止になったらしいねん。」一同
「へーっ、どんなんよ?」と聞く気満タン!
 M君は鼻息も荒く
「いやなぁ、実は水間観音ってとこ知ってる?そこの道路添いに池があるとこの隣に廃墟
のホテルがあって、そこ行ったら絶対、幽霊見れるんやて。俺の友達も行ったらしいねん
けど、子供の幽霊おってんて。」
 と、興奮気味に話します。私たちは口々に
「ほーお、そらすごいなぁ」
 と、関心しきり。
 F君がM君を煽るように
「ほんまにお化け見えるんやったら今から行こうや、俺、見た事無いし、見てみたいわ!」
 主人と私は
「飲んでるし、危ないから止めとこーや。」
 と言ったのですが、二人は行く気まんまん。
「ここで行けへんかったらヘタレやでー」
 という事になり、渋々付いて行く事になりました。
 私はなんとなーく嫌な予感がしたので、ちょっと卑怯かとは思いましたが、主人のズボ
ンの後ろポケットと自分のポケットにも内緒でこっそり数珠を忍ばせておきました。
 M君は
「俺、道知ってるから運転するわ。」
と飲酒運転にもかかわらず、スイスイと走り、小一時間で問題のホテルに到着しました。
四人は正門に回り、M君を先頭にF君、主人、私の順に廃墟へ侵入しようとしました。
懐中電灯を持った二人が奥へ奥へと進むのを確認しつつ、何やら鋭い視線を感じ、ふと門
の上を見ると、恐ろしい形相をした和服姿の女性が浮かんでいます。
「うちの旅館に何用や!勝手に入るな!!」
と叫んでいます。
思わず私は主人の腕を思いっきり引っ張り
「あかーん!あんたっ、入ったらあかん!女将がおこってはるで。戻ろう。」
 主人はびっくりして、きょとんとしています。
「どこに?女将なんかおれへんやん?」
 私は
「上。上、見てみい。門の上や!」
 主人は門の上を見上げて
「ひいっ!?」
 と声にならない悲鳴?を上げて、二人で後退りをし、その場を離れました。
 さすがに先行した友人が心配になりましたので
「おーい!戻ってこーい!」
 と声を掛けましたら
「なーんもあらへんかったわ。」
 と少々不満げです。
 道路側の池が見える歩道に戻ると、何組かの若者グループがやはり肝試しに来ていて中
に侵入したM君とF君に
「何かありましたぁ?」
 等と尋ねながらカメラで建物を写していました。
 丁度、その頃からM君が体調不良を訴えだし、首と肩が痛い!と半泣きです。
 すると、ホテルの屋上の手摺りの部分に立っていた老人がM君とF君に
「呪ってやる〜、ワシの苦しさを思い知れ!」
 と不気味に叫んでいました。
 おそらく、その場に居た10人以上の人間がその老人の叫びを聞いたんだと思います。
 全員が蜘蛛の子を散らすようにそれぞれが乗って来た車に戻り、ある車はヘッドライト
も点灯せず発進。ある車はサイドブレーキを解除するのを忘れ、中々発進出来ないという
慌てよう。私たちも苦しがるM君を車にねじ込み、しらふの私がハンドルを握り急発車
しました。
 10分程走るとコンビニが前方に見え、コンビニの明かりがどれ程有り難かったでしょ
う。
 一息付こうと停車し、コンビニで塩を買い求め、痛がるM君に、これでもかーっとい
う程ぶちまけました。
 するとどうでしょう、さっきまで苦しんでいたM君が
「ああっ、急に楽になったわ。すーちゃん、おおきに。しやけど、俺、ナメクジちゃうで
ぇ、そんなどばどば塩かけんでもええやん。(;^_^A」
 と、冗談を言える位でした。安心した私は
「あほぉいいなさんな。あんたヤバかったんやで。」と、ほっとして言いました。でも、
この時、F君にも塩をかけておくべきでした。彼は
「俺、なんともないからええわ。」
と、辞退したのです。
この日は酔いもすっかり醒めてそれぞれ帰宅しましたが、祟りはあったのです。まず、F
君。
この一週間後に車で事故。全損でした。
2ヵ月後、とってもお元気だった彼の母親が原因不明の病死。同じ時期に奥さんの流産。
加えて、父親が脳溢血で倒れ、少し障害が残ってしまいました。
そして、M君。
彼も事故を起こし、車は全損。一緒に乗っていた彼女が怪我をし、まだ、彼女も気付いて
無かったお腹の赤ちゃんを流産。
この事故で支払わなければいけない多額の賠償金。保険では賄いきれない金額だったそう
で、自己破産しました。
 その後、彼の父親と母親が西名阪道を走行中、運転していたお父さんが急性低血糖で意
識を失い、高速道路の壁に激突、炎上しご遺体は消し炭のようになっていたそうです。
ただ、彼はこの両親の事故により多額の生命保険金が支払われピンチを切り抜けたそうで
す。
 彼女の両親は娘を事故、妊娠両方で傷物にされたと怒り、彼は男らしく責任を取り、彼
女と結婚し、今では二児のパパです。
 最後に我が家はポケットに忍ばせておいた数珠が二人供ぷっつりと切れており、再度繋
ごうとしてもどこで無くしたのか珠の数が足りずに修理は出来ませんでした。
 若気の至りとはいえ、安易な気持ちで心霊スポットに行き、御霊の怒りをかってしまっ
た事を反省しています。
 皆さんも決して遊び半分で心霊スポットには近づかないで下さいね。

すー

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