【怖い話】タイムスリップ
SINさん、こんばんは。
私の同僚が体験した、不思議な話をお伝えしたくてメールしました。
同僚(以下Nさん)は、取引先へ向かう途中です。通り慣れたいつもの道。国道を右
折、踏み切りを渡り道なりに右折後、10分で取引先に着く予定。「14時50分、こ
れなら、十分に間に合う時間だなぁ」Nさんは、国道を右折し車を進めていく。「
あれ?踏み切りを渡って、道なりに右折だったよなぁ?」今日に限って、交差点
になっている。「暫く来ないうちに、新しく道が出来たのか?」Nさんは、気にも
止めず先を急いでいた。しかし、異変に気付くのはすぐだった。「あれ?アスフ
ァルト道がいつの間にか砂利道になっている。」車を進めていて、目に飛び込ん
できた景色は、昭和初期の街並みと無数の猫。山の上にはお寺が見えた。取引先
との約束の時間も近づいて来て、多少の焦りもあった。運良く、住民に出くわし
た。モンペ姿の戦時中の服装をしたお婆さんに勇気を振り絞って聞いてみた。「
あの…、〇〇さんのお宅はどの辺りでしょうか?」お婆さんは無言で立ち去り、
途方に暮れていた。悩んでいても仕方がない、取引先との約束
の時間は過ぎている。慌てて携帯を手に取ったが、圏外だった。いつもの景色と
は違うし、何かが違う。知らず知らずのうちに亡くなったお婆ちゃんに「助けて
くれ!」と何度も訴えていた。とりあえずは携帯の電波が入る国道に戻ろうと、
次の角を右折した。踏み切りを渡り、さっき右折したはずのいつもの国道に戻れ
た。「携帯が繋がる!」慌てて、取引先へ遅刻の電話をかけた。ふと時計を見る
と、14時50分。さっき国道に入る前の時間だ。「確かに、さっき踏み切りを渡る
前に見た時間に違いない…。でも、走行距離は延びている。車は確実に走ってき
た…。」よく分からないが、もう一度国道を右折、踏み切りを右折、「あれ?交
差点が無くなっている?」Nさんは、焦る気持ちで車を進めた。先ほど見た昭和初
期の町並みはなく、難なく取引先に到着した。取引先に着くなり、今体験した話
をした。取引先の紳士は、「昔は、山の上にお寺があったけど、今はもうない。
」呆気に取られたが、仕事も終わり再び車に乗った。「無事に帰れるだろうか?
」不安がよぎった
。お婆ちゃんに必死でお願いしながら運転し、いつもの国道に入った。「帰って
来れた。」安堵の思いで、帰宅したようでした。数日後、この話をNさんから聞き
ましたが、それ以降その道には近寄っていないと言ってました。
何だったか分かりませんが、Nさんはタイムスリップしたと言っています。
こんなに発達した世の中でも、証明できないことがあるのですね。