【怖い話:無縁さん】

 仙鬼さんからの投稿。

 実家に帰ると、母が具合悪そうな顔で迎えてくれた。
「最近、肩が凝り過ぎてしんどいんや」 何か変な感じがしたので、「どこか妙な所でお
参りせんかったか?」と聞いてみた。
「お参りしたと言えば、〇〇の地蔵さんをお参りしたけど…」マッサージしてくれと言う
母をなだめつつ、おかしな事起こってないか?と聞くと…。
「お父ちゃんを送り出して一人になったら、いつも台所から誰かに見られてる感じするし、
変な音もして気色悪いなぁ」 台所に行って柏手を叩いていくと一部だけ音がくぐもって
いる。
「この辺から見られてないか?」
「そうそう!一人の時にはあんまり寄り付かんねん。」 信心深い母がお参りしたのは無
縁仏で、連れて来てしまったんだろう。
「信心深いのはええけど、何でもかんでも手を合わせたらアカン。」 そんなことを言い
なら、無縁仏にお引き取り願うと、「わぁ〜、肩凝り消えてもうた!?」 母は30年以上、
毎日祖父の墓参りを欠かさないくらい信心深いで、道端の地蔵さんにも丁寧にお参りして
たんだろう。 無縁仏も、この人ならと思ってついてきたんだろうな…。

※柏手で霊の存在を確認するのは、初耳ですので採用させて頂きました。
 どこで覚えたのですか?
 無縁さんをお引き取り願うのはどうやられたのでしょう?
 仙鬼さん、只者ではありませんね。
 でも、害の少ない無縁さんで良かったですね。
 無縁さんは私でも怖いです。

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