【奇妙な話:伯父の感謝】
文月さんの投稿。
昨夏より以前のように、何となく視える(?)ようになってしまったような気がします。
目の端に、いないはずの人をとらえてしまうことがあるのです。目の錯覚だとは思います
が…さて、以前、慎さんが視える人は頭のスクリーンで見る、というようなことをおっし
ゃってたかと思います。同じような感覚が伯父のお葬式であったのでそれを。
昨年の12月、その年の初夏に脳梗塞で倒れた父方の伯父が他界しました。伯父の葬儀
でのことです。伯父は子どもがおらず、若い時からお嫁さんの伯母と共働きのためわりと
裕福で数年前も家を建て直したばかりです。晩年伯父は糖尿病から足が悪くなり、家の中
にエレベーターという素敵な家です。ただ、子どもがいないせいか、人が集まるにぎやか
な家、というわけではなかったようですが…
話がそれました。伯父が亡くなったということで、いつもはあったことのない伯父伯母
の親族が一同に介しており、その中には私のように子どもを連れてきたりして、悲しいな
がらもにぎやかになっていました。気が付いた時には何故か私の頭の中、右上で伯父がニ
コニコ笑っているのです。いつもは淋しい家が人が一杯来てくれてうれしい、というよう
な感じで、いくら頭を振っても私の頭の中に伯父が見えるのです。湯灌が始まり、あの世
への旅のための準備が始まりました。伯父はニコニコしながらも、準備が終わると不思議
そうな、淋しそうな顔をしていました。その日のお通夜は滞りなく終わりました。
翌日の葬儀の時です。お坊さんの読経が始まると、親族席に座っている私の頭の右上に
伯父が視えるのです。上へ行こうとしているのですが、何故か行かずふわふわ。気が付く
と私は席に座って目をつぶったまま上に引っ張られる感覚が…実際雲の上から下界を見た
ような気もしました。こ、これは、と思って、(私はまだ子育て中だし、まだ未練も一杯
あるし、何よりまだ生きていたいから一緒に行くのは無理!)と、心の中で叫んでいまし
た。自分の身体の中に戻ってきたな〜と思ったら、気が付くと右上の伯父の隣に20年近
く前に亡くなった私の父の姿が。父は白い着物とお坊さんの袈裟のようなものを着ている
イメージがありました。ニコニコしながら伯父の隣に立ち、何か兄弟で話しているようで
した。しばらくすると父の姿は見えなくなりました。読経が終わり、最後のお別れの時に
は伯父の姿は見えなくなっていたのですが、どうしても伝えたい、という思いが入ってき
ました。伯母に伝えたいことがあるようです。
私としては、自分の妄想かもしれないことを伯母へ、葬儀のこの時に伝えるのはいかが
なものか、と思っていました。が、生前伯父と付き合いのあった人へ挨拶をしている伯母。
その伯母の目の前に何故か私は立ちました。そこで伯父が一言「今までありがとう。」。
満足そうな気持ちだけが私の中に残りました。
伯母は伯父の生前、脳梗塞で倒れてからずっと無くなるまで献身的に介護をしてきまし
た。また伯父は家の中のことは伯母にまかせっきりで何もしない、とよく伯母が愚痴って
いました。最後に感謝を伝えたかったのでしょうか。私のひとりよがりの体験(人によっ
ては私、頭のおかしい人ですよね?)なので、伯母に伝えようか迷っています。
※頭の内側の裏のスクリーンで見ると言うのは、あくまで私個人の見え方です。人により
見え方は異なります。
友人に霊能者並に見える方がいますが、この方は普通の肉体を持つ人間と同じように見
えるそうです。会話も普通の人間と同じようにするそうです。
※伯母さんへは伝えて上げた方が良いと思います。その言葉は伯母さんの心に響くと思い
ます。
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