【奇妙な話:前世の記憶】
又々、文月さんの投稿。
もう7,8年くらい前の、上の息子が幼稚園に通い始めたころの話です。
その当時、赤ちゃんの時から一緒に子供同士遊んでいたママ仲間がいました。彼女は2
人目を希望していたのですが、なかなか恵まれず数年前にも流産していました。子供たち
が幼稚園に通い始めた春、ある日公園で子供たちを遊ばせながら、彼女(Aさんとします)
が嬉しそうに2人目を授かったと教えてくれました。ただちょっと心配だったのはご主人
とあまり上手くいっていなかったことでした。
前回の流産もあってか、今回Aさんはおなかの中の赤ちゃんのために慎重に生活して
いました。だけどGW間近、ご主人とのケンカから、GWに身重(妊娠初期でしたが)
をおして幼稚園の娘さんと実家(東京近郊の県)へ帰ってしまったのです。話は変わりま
すが、GWの最終日の夜、子供たち、主人はすでに寝ており、横になって本を読んでいた
私は「さあ、寝るか」とスタンドを消した時でした。いきなり心臓が止まるほどの衝撃を
受けました。私の心臓が止まったわけではないですが、あまりの衝撃に誰かに何かあった
のかも、という不安な気がしました。その考えが浮かんだとたん、寝ている子供たちと主
人が心配になり急いで彼らの息があるか調べたほどです。
GWが終わりAさんたちが帰ってきました。Aさんは帰ってきてから病院での検診を
受けた時でした。おなかの赤ちゃんの心音が聞こえない、と言われ結局また流産してしま
ったのです。そのすぐ後ご主人との話し合いからAさんと娘さんは実家へ帰ってしまい
ました。
それからです。私に変化があったのは。最初は「夜が怖い」でした。夜8時を過ぎると
言いようのない恐怖に襲われるのです。眠る時が一番怖く、死を何故か意識してしまうの
です。当時(現在もですが^^;)私は健康優良児。何でそんな考えが浮かぶのかわかりま
せんでした。時が進むにつれて段々ひどくなり、喪を思わせる色、特に黒が怖いのです。
今まで好んで身に着けていた黒いTシャツだけでなく、子供たちの洋服なども黒は身に
つけない、つけさせないようにしていました。さらに1カ月ほど経つと、夜中に自分の顔
を鏡で見ると見慣れたはずの自分の顔が、「私の顔ってこんな顔だっけ?」と思うように
なってしまったのです。
昼間は別段普通の私なのですが、夜8時を超えると上記のような感覚に悩まされ、本当
におかしくなってしまったのかと思いました。「精神科に行かなきゃダメかな」と思って
いた矢先、実家に帰っていたAさんたちがご主人と和解し東京に帰ってきました。季節
は春から夏になっていました。すると呪縛が解けたように後ろの人たち(?)が私の中の奥
底を探り始めました。奥底で後ろの人たちが見つけたものは、まだ形になっていない魂(?)
でした。その時の後ろの人たちの言葉。『まさか、形になっていない赤ん坊に憑かれると
は!何たる失態!』と騒いでました。私のほとんど妄想ですが、どうやら流産してしまっ
たAさんの赤ちゃんに憑かれていたようです。
Aさんに渡すものがあって会うことになった日。会う前にはっきりと形になった「彼」
と話をすることになりました。会話は私の頭(?)の中なので、口に出したらほとんど電波
さんです。そして「彼」の話は、実は彼は前の生が終わってからそんなに時間が経ってい
ないこと。だからいわゆる前世の記憶がばっちりあり、前世の名前も覚えていること(彼
曰くサルバドール・ダリと言っていましたが(^^;;))、当然まだ彼を知る人が生きているこ
と(日本では無く、スペインだと言っていました。)、生まれたら前世での縁の人たちに
会いに行きたいこと、だけどそれは生まれてきてからの家族や、会いに行った人たちを困
らせてしまうこと、何より新しく生まれてきた自分の人生ではなくなってしまうことを教
えてくれました。
彼は自分が生まれる事が出来ないのを知っていました。前世があるからと。だったら新
しい生のために、道を歩き行くべきところへ行くように私は説得しました。彼は死ぬのは
怖くない、だけど自分が愛して大切にしてきた人たちを忘れてしまうのが一番つらい、と
言っていました。だけど忘れてまっさらにならないと生まれる事が出来ないのです。悲し
げに迷っていた彼ですが、私はそんな彼に西の上の方に道があって、色々な人がまっすぐ
歩いているからそこに行くように再度説得しました。彼は次へ進む決心をしてくれました
が、「その前に自分の母になるはずだった人と最後に会いたい」と言いました。
では、これからAさんに会うから一緒についてきていいよ、と返事しました。Aさん
と会った時、彼は「あぁ、これが私の母になるはずだった人か。彼女に伝えて欲しい。今
回自分が生まれる事が出来なかったのは、彼女のせいではなく、自分に前世の記憶があっ
たからだと。自分を責めないで欲しい。」と言い残して行きました。
それから私を悩ませていた感覚は無くなって行きました。ですが、彼が残した言葉と私
の経験はあまりに非現実的。しかも流産して悲しんでいる彼女に伝えて良いものか私は迷
いました。Aさんとの共通のママ友(Bさんとします。)にしばらくして思い切って私の
経験と彼の言葉を伝えて良いものか相談してみました。Bさんは「それが本当のことかわ
からないけれど、Aさんにとっては必要なことかもしれないから伝えた方がいいよ。」と
言ってくれました。Aさんに伝えると彼女は話の後泣いていました。「私はその話信じる。
私のせいで流産したと思っているから。その思いは変わらないけれど、救われたわ。あり
がとう。」と言ってくれました。
その後Aさんは2人目に恵まれ、無事に出産しました(^^)。元気な男の子です。もう
一度「彼」がまっさらになって生まれてきたのでしょうか?
※前世の記憶があっても生まれて来ることは可能です。このお話は「彼」が前世に固執した為の特異例です。
又、現世で生きて行く内に過去世を思い出すこともあります。
必要だから記憶があるのです。辛くても受け入れないといけません。
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