【怖い話】恐山
再びみーこさんの投稿。
平成11年の秋頃、女流歌人T女史と編集者Nさんと私三人で、
青森の蟹田からフェリーで下北半島へ渡り、
マイクロバス一台をチャーターして一路恐山へ。
ドライブ酔いもあって頭はクラクラ、体調不良にて突入した恐山山門。
「恐怖の霊場恐山!そこにある温泉には、
いつも人影がありそれは生身の人間でなく・・・」てな吹き出しの、
昔愛読した、つのだじろう氏の漫画の怖い描写を思い浮かべたりしながらも、
とうとうこの地に来たかという感無量さを味わっておりました。
宇曽利湖のエメラルドグリーンが広がる水面をバックにT女史を撮影。
この方、当然美人なのですが、なんともこの場所にしっくりくる
不思議な雰囲気の持ち主でした。
あちらこちらに地獄という名がつくポイントがあり、
辺り一面は硫黄の香りで立ち込めておりまして、
赤や黄色のカラカラと回る幾つもの風くるまを横目に、
何とも言えぬ虚脱感を抱きながら、さっさと次なる場所へ移動しました。
そこはイタコの口寄せのお座敷。
T女史がイタコと対面し、
聞き取るのが難しい東北弁を想像力を働かせながら聴き入るT女史の、
大きく見開く眼が印象的でした。
どうやらご先祖さまがいらして何かを言われている様子。
終わってから「どうでした?事実と符合してました?」と、
なんともいやらしいことを聴く私に、
「良く解りませんでした、合っているような合ってないような・・。」
霊視も占いと同じで当たるも八卦当たらぬも八卦か?との落胆の思いを残し、
宿へ入り何ごともなく一日が終わり、
次の日は、恐山に継ぐ霊場といわれる奇異な巨岩群が露出している
仏ヶ浦を見て回り終え、疲れた体を引きずって東京に戻りました。
次の日、自宅で昼寝をしていたら、
「ああ、久しぶりに来る、あれ、でもいつもよりはライトな感じ?」
足先から順々にくる金縛りが、じわり、じわりとやって来て、
同時に、私の足下の右側から頭方面へ、地味な和服をお召しの、
未だかつて見たことない、と思えるくらいの、
色白で風格のある美女が無表情で真っ直ぐ進行方向を見つめながら、
ゆっくりと滑って行くのがみえました。
美しさにほだされて、たいした怖さはありませんでしたが、
「ひーっ幽霊だ」と思われたので旅に同行したNさんにこのことを話すと、
恐山から付いてきたのかも知れないから、もう一度連れ帰るのがよいだろう、
と言われましたが、そんな気力もありませんでしたし、
そういう類を見たら「南無妙法蓮華経」を唱え続けなさいとも言われたので、
それに従って今日を過ごしております。
ただ未だ思い出す度に、彼女が立ち現れたことになにか意味があるのか、
暗示なのか、意味ないのかが、凡人の私としては少し気になってます。
※これ幽霊ですかね? 悪いものとは思えません。
ちなみに「南無妙法連華経」のお題目は毎日唱えて漸く効力があるもので、普通は全く
通用しません。お題目や真言が通用するのはそれなりの修法を必要とするものです。
襲ってくる霊には唾をかけてやるとHITポイントが確実に得られますよ。