【不思議な話】幼い記憶 文月さんの話で思い出した話です。 現世での最も古い記憶の一つです。 離乳食を食べている頃、私の精神年齢は二十歳前後で家族のする大人の話を理解してい ました。 小学校高学年から中学二年までは相応の精神年齢だったのですが、要はコミュニケーシ ョンが取れるに付けて幼児化したようです。 私が幽霊を判別出来るのは小学高学年の頃で、それまでは自分にだけ見える人がいると 言う認識で恐怖も感じませんでした。 幼少期は裕福でしたので、当時は珍しい幼児用チェアーに飯時は座らされ、それから配 膳が始まりました。喋れませんが大人の会話を正確に理解していたのを覚えています。 当時の我が家は飯の時間が狂い無く定まっていました。 私がそれを見るのは夕飯時に決まっており、幻視なのか過去世のビジョンなのか今も明 確ではありません。 右側の景色が変貌するのです。 古代ギリシアの神殿内部の床や柱がリアルに見え、17,8才の絹の冠頭衣(輝く様に 白い)を来た少女達が銀や銅の器に果物や料理を入れたものを忙しげに運ぶのが見えるの です。まるで家の夕餉とリンクしているようです。 乳幼児でありながら、大人の理性を持っていた私は「これは普通ではなく、幻覚として も特異極まる」と判断していたので、片言で騒ぐこともしませんでした。 今、考えても不思議な幻覚ですが三歳の頃には見なくなり自然と忘れていましたが、文 月さんの投稿で思い出した次第です。 何か意味の見いだせる幻視でもないので、なぜ毎日夕餉にそれを見たのか理由も見いだ せません。 乳幼児が古代ギリシア神殿内部の構造を知る筈もありませんが、後に美術図鑑で極めて 正確な幻視であったことは確認しています。 一体、何だったのでしょうね? そう言えば、見えることが当たり前で知識が無いと恐怖も抱きません。4,5歳の頃、 夕暮れに火の玉が乱舞する草原があり、大きな蛍程度に思っていた私は虫取り網で追いか け回しており、探しに来た母が恐怖に卒倒したことがありました。 こんな子供じゃ幼少期に愛情を得られなかったのも無理はありません。(ちなみに母は その記憶を失っています) by SIN