【奇妙な話】山籠もり

 一心さんからの投稿。

慎さんのホームページ見て初めて知ったんですが、葛城って禁忌だったんですね( ̄○ ̄;)
知らぬが仏というか、私のおバカ加減に呆れる話をさせて頂きます。

論理的に説明のつかない事が起こりうる事を知った私でしたが、その後数年間
は特に変わった事も無く、平凡な日々を過ごしていました。
そしてある日、それが起こりました。
東京の自宅で寝ていると突然激しい揺れが起こりました。
震度4の揺れでも爆睡してる寝坊助の私が一発で飛び起きる程の揺れでした。
天井の電器の傘が左右に激しく揺れてるように見えました。
完全に目を覚ましたら揺れは突然収まりました。
夢か現実か判りませんでしたが、寝ている所を起こされた私は毒づきながら時
計で時間を確認しました。
朝の5時32分でした。
まだ出勤までには時間があったのでそのまま二度寝しました。

その後、目覚ましで目を覚まし、出勤したら同僚がテレビを見てます。
私を見つけると「今朝地震あったの知ってる?」と聞いてきたので、「知って
るよ、凄い揺れだったね」と言ったら「えっ?地震あったの関西だよ」と言い
ます。
阪神淡路大震災でした。
実際、東京でも多少の揺れはあったらしいのですが、寝ている身体が大きく左
右に揺さぶられる程ではなかったそうですし、第一時間が違います。

つまり、事前に阪神淡路大震災を予知していたのではないかと思います。
正義感の強い私ではありますが、直前にそんな形で突然知らされてもどうしよ
うもありません。
おごっていると思われるでしょうが、私がいつ、どこで、何が起きるか予知す
る事が出来ると判っていたなら犠牲者を一人でも二人でも救えたかもしれな
い。
それが出来なかったのは、日常的に予知する事が出来ない程、自分が悟ってな
く魂が汚れてたせいだと思いました。

それからはどうすれば日常的に予知する事が出来るようになるのかを考え続け
るようになり、修験道の行者さんのように山で修行するしかないのかもしれな
いと思いました。
無知な私は更に、どうせなら役の行者が初めて修行に入った山が葛城山だし、
私の母の旧姓が葛城な事から安易に親しみを感じ、葛城山に篭ろうと思い立ち
ました。

会社の連休を利用してバイクで行く事にしたのですが、夜、東京を出て高速に
乗った途端にパンク。
仕方なく近くのホテルに一泊しました。
翌日バイク屋さんでタイヤ交換して走り出した途端に今度は転倒。
タイヤの銘柄を示すシールのノリがタイヤ側にベッタリと残ってた為でした。

そんな事があり、随分とタイムロスしながら何とか葛城山に辿り着いたもの
の、もう夕方で、しかも二晩篭るつもりが一晩しか篭る時間がありません。
オンロード用のリッターバイクなので山の途中でバイクを停め、20s位の荷
物を担いで歩いて登って行きました。
登り始めてすぐにアブが私を案内するように飛んでいるのに気づきました。
しかしヘタレな私は重い荷物にすぐにへばり少し休んで行こうと思い座り込ん
で休憩しました。
するとさっきからいたアブが私の顔の前でブンブン飛び回ります。
うるさく思った私が腰を上げ歩き始めるとまた案内するように飛びます。
50mも歩かないうちにまた休むとアブがまた顔の前をうるさく飛び回りま
す。
うるさいなあと思いながらまた歩き始めるとまた案内するかのように飛び始め
ます。
まるで、休んでるヒマはないよ!早く早く!と急かしてるようでした。
そして、テントの設営をするのに最適なスペースがあったのでそこに設営する
事にしました。
足を止めていますが、今度はアブは私の顔の前を飛ばず、私の回りを大きく飛
び回ってます。
設営が終わった時には辺りは真っ暗でした。
アブが急かした訳が判ったような気がしました。
山の中は目を開けていても瞑っていても変わらない程真っ黒になります。
その後、山の中を歩き回り、不動明王と孔雀明王の真言を唱えたり、瞑想した
りして一晩空かし、夜が空けてからも瞑想したり山道を走り回ったりして過ご
しました。
前日から絶食してた事もあり、湧水が凄く美味しく感じたのが印象的でした。

夕方山を降り高速で東京に帰りましたが、今度はトラブル無く翌日無事、帰り
着く事ができました。
東京は雨でしたが、私は雨に濡れる事はありませんでした。不思議な事に私が
走る方向に雨雲が遠ざかっていったからです。
しかも私の後ろに太陽があったので、私の真正面に綺麗な虹が出ていました。
虹に向かって走る感覚はとても神秘的でした。

しかし禁忌を犯してたんですね。
手遅れかもしれませんが今後はよく調べてから行動したいと思います(反
省)。

※葛城は封じの呪詛を受けていますが、禁忌ではありません。(一部の血族を除く)
※この様な形での予知は、一種のシンクロニシティで誰にも起こりえる。一心さんが未熟
 と言う話ではない。
※理を正しく学んだ占い師や霊能者は『死』に関する予言は決してしない。『不吉』を予
 言しお祓いを迫る類いは須く偽物である。正しき預言者は道を指し示す者である。
※霊山や聖地でアブが纏わり付くのは良くある現象である。これらの存在は実 体が無いので、恐れぬことが重要である。
※聖地・深山、とりわけ禁足地などでは摩訶不思議な現象は起こり得るもので
 す。しかし、それらに心乱されてはなりません。冷静にあるがままに受け容
 れて、それを他人に語るのは控えるべきです。それは神なるものと貴方との
 睦言なのですから、
 

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