【怖い話】 こけし ももはさんからの投稿。 私の友達から聞いた話です。 その友達の仲のいい女友達M子の話です。 ある時、長くつき合っていたM子カップルに 別れ話がもちあがりました。 それは彼氏 が仕事で成功を修め、独立して金回りが良くなり、彼の周りの環境がすべて変わった時の 事でした。 長く、彼と同棲して貧乏生活を支えて来たM子。彼の友達から、新しく若い彼女が出来 た話を聞き、その彼女と結婚するのではと仄めかされ、彼からは「華やかなパーティーな どの場所にお前はふさわしくない。」などと言われ、別れ話は決定的なものになって行き ました。 別れる前にM子に数百万の慰謝料を振り込む事や、今後の彼の人生に関わらない事など を一方的に言い渡され、貧乏時代の優しかった彼とは全く変わってしまった様子を見て、M 子も自分も新しい道を歩んだ方がいいと思ったといいます。 別れる一週間前、「最後の想い出に、一泊旅行に行きましょうよ。」とのM子の提案に彼 もしぶしぶ承諾をしてくれ、二人はドライブがてら東北へ温泉旅行に行きました。 何とか楽しい一日が過ぎ、帰路についた時、通りすがりの寺に水子供養の旗があり、 「そう言えば私達にも三人の子供がいたよね。」とM子が言うと、彼は聞こえない振りを していました。彼が大学4年の頃から二人は同棲し、9年の月日が経ち、その間M子は3 回も中絶をしていました。 「いつか独立して裕福になり、君と幸せな家族をつくる。」と言った彼の言葉を信じて……。 聞こえない振りをしている彼が憎らしくなり、「ねぇ、水子供養だけでもしていこうよ。 その方が貴方の未来もスッキリするでしょ。」とM子が言うと、彼も珍しく「そうだな……。」 と言い、車を停め神社に寄ってくれました。 夕方までに東京へ着かなければならないため、お祓いなどはしてもらわなかったので、お 賽銭をして、赤いお札を3枚買わせて貰ったそうです。 その時M子は駐車場の近くの土産物屋で、父が集めているこけしの可愛いのが売ってい たので、比較的大きなこけしを父の土産に買い、その時なぜか「父に見せる事の出来なか った三人の孫のかわりに。」と思ったそうです。 最初の赤ちゃんが出来た時は彼も病院へついてきて泣いてくれたっけな、 二度目の時は「まだムリだな…。ゴメン。」だった。 三度目は「しょうがないなぁ~。俺は病院に行かなくていいだろ。」 だったっけ。 その時はさすがに生みたかったけれど、彼のそんな反応を見て、「あ~、この人とはい つか別れてしまうかも。」と気付きました。それは2年前の事、とM子は言っていました。 働いて来てくれて、ご飯を作ってくれる都合のいい女、いつからこんな風に変わっていた のだろう……。M子はそれでも彼との結婚を夢みて来ました。「仕事が成功すればきっと 彼も変わる……。」 しかし彼が元に戻る事はなく、今回の別れ話もM子にはそう驚く事ではありませんでし た。 今までの賃貸の安マンションも彼が出て行くので、M子は今までの住まいから相変わら ずの会社へ仕事に行くだけです。 彼の友達曰く、彼は新しい彼女にマンションを購入してあげていて、そこに一緒に住むよ うです。 二人が土産を持って車に乗り込もうとしたその時です。 その彼女から彼に電話が入り、彼は取りつくろいながらあわてて、「夕方までには東京へ 帰るよ。」と言っていたのでした。仕事で出張している事になっているのです。M子には 「社員から電話」と言っていました。 その後すぐです。彼とM子がつまらない事で車内で言い合いになり、彼はどうしてもひ とりで東京へ帰ると言い、M子は最寄りの新幹線の駅まで送りつけられてしまいました。 駅まで送ってくれた事、2万円を車の窓から差し出した事は彼のせめてもの気持ちだった のでしょう。 まさかあの時触れた手が最後になるなんて………その時は思ってもみなか ったと言います。 きっと二三日後には家に彼か彼の社員が来て、どうしても必要な書類などだけを引き上げ て行き、そしてもうこれで終わりなのだなぁ、とM子は思っていました。 彼が昨日振り込んだという慰謝料の事、喧嘩して降りたため車の中に忘れてきた土産の事、 色々考えながら、でも最後くらいは一緒に東京へ帰りたかったのにと窓の外の景色を眺め ながらM子は思ったのでした。 今日は彼は彼女の所へ帰るのだろう、こけしとおふだは同じ袋に入っているからそのうち 返してもらわなきゃ、…と… 考えながら眠ってしまって………。 気付くと東京駅。ひとりぼっちの部屋へ戻ってもM子は寝付かれず、深夜になろうとし た頃 。玄関チャイムが鳴りました。部屋の外にはお巡りさんの姿が。 伝えられたのは、彼が高速で側面壁にぶつかり、車も大破、彼も病院で亡くなったとい う事でした。 免許の住所がそこにあり、事実上内縁の妻のようなM子が、「まだ明るかったのに居眠 り運転だったんですか?」と尋ねると巡査は、「何かがブレーキの下に入り込んでいて踏 み込めなかったようです。」との答え。 あとで解った事だったのですが、、、 高速に乗る前にM子の忘れ物を確かめるため、彼が袋の中から包装紙を開いてこけしを 見たようで(お店の中で彼はM子がこけしを買うところは見ず、自分は社員らに箱入り 菓子を買っていました) どうもそのこけしがギアボックスのあたりから転がり落ちて、ブレーキの下に入り込んで しまったようです。 彼の両親もM子も悲嘆に暮れましたが、数日後、M子には口止め料もあるためか彼から 思った以上の慰謝料が振り込まれていた事がわかり、自動車保険も昔からM子の名義で 入っていたため、多額の保険金が振り込まれたのです。 もちろん、多少の嫌疑がM子に向けられましたが、いくら調べてもこけしが落ちた偶然 以外には何もありませんでした。 新しい彼女は泣いていたものの、一カ月後には高級マンションが自分の物になったと漏ら していたらしいし、 あのこけしは、何度も中絶させて平気でいる男に復讐したかったのでしょうか。 その後、昔の日本では食いぶちを減らすため間引いてしまった子供(主に女の子)や貧し さのため亡くなった子供たちの霊をまつるためにこけしを飾ったという言い伝えがあるそ うで、その家に亡くした子供の数だけこけしがあったとも聞きました。 『子消し』と書いたとも言われています…… ※ありがちなお話ですが、教訓として採用させて頂きました。 ※中絶は原始的な方法で行われます。搔爬と言われる方法は子宮内部を鉗子でえぐり取る もので、どうしても母胎を傷つけます。 ※3回も中絶すれば、次の妊娠は難しくなります。 ※中絶は女性を肉体的にも精神的にも強く傷つけます。注意して下さい。 ※水子は大変強い怨霊となり、母胎に祟る傾向が強いです。必ず供養して下さい。 ※この男性はまさに因果応報ですが、それが水子なのか、女性の恨みの念によるものか判 別出来ません。 ※水子供養は並の僧侶や霊能者には手出しが出来ません。 ※私が知る最高の水子供養は嵯峨野の化野念仏寺で千灯供養の日に行われるものです。何 百体もの水子を上に上げる様は圧巻です。 ※これほどの徳の高い僧侶に巡り会えるのは希です。基本的にはご両親が一生をかけて供 養するものだとお心得下さい。