【奇妙な話】私の式①
 
 文月さんからの投稿。3話構成です。

この話は私の「式(本当は名前がありますが、それは主以外には知られたくない、という
ことなので)」が、私の式になった時の話です。

もう2年前のことになりますが、慎さんの助言をいただいて「式」になったものの話です。
慎さんには怖い話に投稿してください、と言われましたが、どうしても「式」本人がその
当時は嫌がったので、今までそのままになっていました。
 
「式」もやっと一人前(?)になり落ち着いたので、投稿してもいいよ、ということにな
ったので投稿させていただきます。(「式」といえども私は嫌がることはしたくなかった
ので)
「式」が「式」になる前のお話からしなければなりません。

この話を慎さんにメールした時は思いっきり「死ななくて良かったね」といわれてビビっ
た話です。当時慎さんに送ったメールをそのまま…
 
夢3部作
「第一夜」
 
高校生の時に見た夢です。
 
初日。神社の境内みたいな場所にいました。周りは灰色の景色です。私は石畳を歩いてい
ました。目の前を白い着物を着た女性が歩いています。
すると目の前に誰かのお葬式らしき祭壇がありました。
祭壇の周りには誰もいません。祭壇の前まで来ると前を歩く女性が後も向かず、「あなた
も拝みなさい」といいます。
私は「?」と思いながら祭壇の前まで来るとなんと私の写真が!ビックリしている間もな
く前の女性が祭壇を左に続く石畳を歩いていきます。
 
私はまた彼女の後ろをついていきます。
しばらくすると右手に大きな平屋建ての家?東屋?のようなものが見えました。
その建物は普通の玄関が無く、入り口はベランダへ出るような大きな窓が入り口のようで
した。
ガラスであるにもかかわらず中は見えません。建物の入り口まで来るとその女性はスッと
消えました。そこで私はその出窓を開けて建物の中に入りました。
 
建物の中は大きな部屋になっていて、白い着物を 着た大勢の人たちが並んで寝ています。
入り口のわりと近い位置にスペースと枕が一つ置いてあります。
その隣にはやっぱり白い着物を着た人が寝ています。大勢の人が寝ているにもかかわらず
寝息一つ無く静寂につつまれていました。
するとどこからかあの女性らしき人の「あなたも寝なさい」という声が聞こえました。
 
私は(眠くないんだけどな~)と思いつつ、空いている枕のところで横になりました。
眠くなかったのですが、しばらくするとうとうと。
そこで思いっきり私の名前を呼ばれました。
驚いて飛び起きると周りは誰も起きていませんでした。
眠気が覚めてしまった私は、ふと入り口の窓を見ると、はるかかなたに夜明けらしき光が
うっすらと見えました。
 
私は眠気も覚めたことだし、朝が来るまで外で待つことにしました。
建物を出て灰色の景色の中、ずーっと遠くに夜明けの最初の光のようなものが見えました。
不思議なことに私が外に出て光を見て夜が明けてあたりが明るくなった時には、知らない
間にその建物は消えていました。
安堵するような気配を感じつつ、実際に目が覚めた、という感じです。
 
「第二夜」
 
その1週間後。また夢を見ました。
当時付き合っていた彼と四角い白い部屋にいました。
彼が「もう行かなきゃな」といったとたん景色が変わりました。
私は川の土手を歩いていました。
川は私の右手側を流れ、向こう岸は見ることが出来ません。
土手を歩いているのは私のほかに数名いて、老若男女とりまぜており、先頭は初日に出て
きたあの女性でした。私以外はみんな白い着物を着ています。
 
みんな黙って歩いているので、生来のおしゃべりな私はすぐつまらなくなって歩いている
人たちに話しかけてみましたが、誰も話してくれませんでした。
しばらくすると後ろから、軽快に走って追いかけてくる足音が聞こえました。
追いついてきた男の子は私と同じくらいの年齢で、色 は白でしたが着物ではなく普通の
洋服を着ていました。
顔は何故か見えないのですが、楽しげに笑う口元が印象的でした。
やっとおしゃべりしてくれる相手が来た~と私はうれしくなり、その彼と夢中におしゃべ
りしていました。何を話したかわからないのですが、楽しかったのを覚えています。
 
おしゃべりをしていたおかげで、歩いている集団と段々と距離があいてきてしまいました。
私は少し気になりましたが彼は気にせずおしゃべりを続けます。
そこで何故か野宿をしようということになり、集団と離れつつあった私は「離れちゃう
よ?」と言うと「大丈夫大丈夫」と返ってきました。
彼はあの集団から私を離したいような感じでした。
私たちは、土手から川の方へ降りて野宿をはじめました。
二人で楽しくおしゃべりをしましたがひとつ気になることが。
あの歩いている集団、ずーっと遠くに行ってしまっている様なのですが、はっきりといつ
までも見えるのです。
 
夜も更け、外でごろ寝(?)している間も何故かあの集団は遠くに行っているはずなのに、
ずっと頭の中で見えていました。
しばらくしてあの集団がとうとう見えなくなりました。
そこで私は目が覚めたのです。
 
「最終夜」
 
さらにその1週間後。
夢の中で今度は私はどこかの川原にいました。
その川原の一角の側溝?みたいなところに私はしゃがんでいました。
何故か小石を一生懸命積み上げているのです。
周りを見ると夜のようなのですが、空は赤黒く、川原は石だらけです。
空からは火山岩(火のついた石?)のようなものが降り注いでおり、たくさんの白い着物
を着た人たちがそんな状況の中踊り狂っているような光景が見えました。
 
そこで場面が変わり、前2回の夢に出てきた白い着物を着た女性が目の前にいました。
前2回の夢では後姿だけだったので顔は見えませんでした。
今回は細長い短い廊下みたいなところで対面しており、その女性はとても怖い顔をしてい
ます。
しかもナイフ?包丁? を持っており私の方へ近づいてきました。
私は後ろずさりをしながら逃げますが、廊下のどん詰まりに来てしまいそれ以上逃げるこ
とが出来なくなってしまいました。そこでその女性に心臓を刺されたのです。
夢の中でしたが心臓に走る痛みと意識が薄れていく感覚がありました。
 
夢の中で気を失い、気がつくと誰かが私を抱き起こしながら私を見ていました。
それは2回目の夢に出てきた彼でした。
周りは何もない白い風景(部屋?)の中に丸くてふわふわの真っ白な絨毯の真ん中で彼に
抱かれていました。
気がついた私は夢うつつで彼に聞きました。
「あれは夢だったの?」彼は何も言いませんでしたが、確かに私は刺されたようで胸に包
帯が巻かれており、ずきんとした傷の痛みも感じました。
私が自分で夢か現実か混乱していると、彼はもう大丈夫、というように笑いかけました。
私はそこで目が覚めたのです。
 
以上が3週連続で見た夢です。
不思議なことに目が覚めるたびに「あ~助かった」という感覚があるのです。
お坊さんの卵であった友人には最後の夢はまるで地獄に行ったようだね、といわれてしま
いました(^^;)。
特に私には何かあったわけではないので不思議な夢を見たもんだな~と常々思っていたの
でメールしてみました。
思い返してみると確か父はがんに、弟はバイクで事故ったような……不運が重なった気が
します。さらに気のせいだとは思いますがもしかして呪を受けていたのでしょうか……

※まず夢ですが、一週間毎に見ているのがミソです。これで呪と分かります。
※普通なら生還出来ない内容ですが、手当を受けて九死に一生を得ています。
※私が投稿をお願いしたのは悪霊が式に変わる過程についてで、この夢ではありません。
 

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