【怖い話】旅館

 ののさんからの投稿。

修学旅行先での、ありがち体験ですが…

宿泊先の旅館は、女子生徒8人部屋でした。仲のいい友達5人と、私、お祭り系のクラス
女子2人の部屋割りで、何人かギャルが遊びに来て…始めちゃったんですよね、怪談話を。

敷かれた布団の上で、みんなで輪になって、消灯時間の見回りに先生方が来るまで。

一番はしゃいでたコ達は、もちろん自室へ帰り。みんな頭を向かい合わせて布団に入り、
消灯。


怖い話をしている時の、空気感を引きづったまま寝たせいかもしれません。

横になってから、段々気持ち悪さを感じ、それでも無理矢理寝ようと思っていたら、急に
寝ている布団ごと時計回りに回されている感覚になったんです。

目をつぶっているはずなのに、窓に面した大きな障子戸越しに、月明かりでも指している
かのような鎧武者の影絵のイメージがやけにリアルで。

不思議な事に、何回転かするとピタッと止められるんです。軽く足下と頭に遠心力感じる
スピードでした。

それでも何度かグルグル回される事に、朝まで続けられたら寝られないと思い、とりあえ
ず一言。


「まだ起きてる人~?」

「「「「…はぁい」」」」


躊躇いがちな声が4つ。
寝ているコも居るので、小さな行灯に近い友達に、電気をつけてもらいました。
顔を見合わせたところで、戸惑ってる表情で分かったんですよね。


「どうして起きてるかは聞かないから、明日の朝、話そう。眠たくなるまで、適当に喋ら
ない?」


それから班行動、お土産の話等を、少しテンションが上がる話をして、電気をつけたまま、
それぞれ寝落ちしていきました。


翌朝。
陽の光の下で聞いた話は、2人は横になってから気分が悪くなって、1人は眠ろうとして
も、何故か眠れなくて。
1人は私と同じく、グルグル回された感覚がしたそうです。

どうしたらいいか分からなくなっていた時に、友達が起きてる事に安心したのは、私だけ
じゃありませんでした。

怪談話を(半強制的に)聞く側だっただけで、一晩中怖い思いをし続けるなんて、耐えられ
ませんよね。

部屋には怪しい掛け軸や不自然な絵画もなく、曰くありの部屋でなくて怪談話のせいだな、
とその時は思う事にしました。

ただ、最後に大型バスの窓側席に乗った時、ふと見た外の庭にひっそりと寂れた小さな祠
を見つけて《うわ、見つけちゃった》とゲンナリしました。

断崖絶壁の山を背にした立派な旅館でしたが、宿泊前に遠目に見た時、何でここに泊まる
事にしたの…と、かなり憂鬱だったのは誰にも話してません。

※旅行の醍醐味の一つは宿での楽しい一時だと思うのですが、お気の毒でした。
※修学旅行の宿は安くてサービスの良い宿が選ばれるので、結構な確率で出る宿が選ばれ
 ます。
※布団をぐるぐる回すとはかなり凶悪な霊です。
※ののさんが逸だなと思うのは、何があったか聞かない所です。
※半数が起きていたのは結構な確率ですね。
※霊も供養されていれば、悪さはしないと思います。

 

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