【不思議な話】緑色
水渓さんからの投稿。
近所のおじさん(以下Kさん)が関東の単身赴任先から急遽帰って来たと人づてに聞いた
のは12月のこと。
Kさんはとても気さくな人で、私は小さい頃からよく可愛がってもらった。
年明けて1月くらいかな、夢を見た。
遠くから真っ黒な竜巻がこっちに向かってきている。私たちは(夢の中での知り合いが10
数人程)大きな建物に避難しようとしている。そこにKさんもいた。
ビュービュー唸る風、暗い空、髪の毛を押さえながら私は何故か立ち尽くすKさんを見
ている。
Kさんの顔が緑色で若干浮腫んでいる。視線が虚ろで…私は目が離せず、なんで?と思っ
ている。
と、急に右後方から男の声がした。
「あの人、長くないよ」と言った。
ショックで振り向けなかった。夢はそこで終わった。
Kさんが末期のガンだと父から聞かされたのはそれから1ヶ月程してからだったと思う。
Kさんの葬儀のあと、夢にKさんが出てきた。私は夢だけどはっきり意識があって(Kさ
んは亡くなったことに気づいてないのかな)と心配になり、Kさんに近づいて行った。
声をかけると「お 、水渓」と笑う。
「Kさん、分かってますよね」
Kさんは言われちゃったかーという顔をしたので、私はたまらず、Kさんをぐっと抱きし
めた。
その後、握手すると、
「水渓、俺なー、○○(息子さんの名前)と酒飲んだり、孫達と遊びに行ったり、もっとす
ればよかったよ。後悔してる」
気付くと亡くなった祖母が側に来ていて、あぁ、迎えに来たんだなと思った。
起きてすぐに父にこの話をしたら、父は静かに泣いていました。
以上です。怖い話とちょっと違いますが、不思議な経験でした。
※心温まるお話だと思います。
※現世とあの世の間には、黄昏色のあやふやな世界がありますが、水渓さんは夢を通じて
その世界へ行かれたのではないでしょうか?
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