【不思議な話】版画の菩薩

 朝子さんからの投稿。

(※「日本刀」より以前の話です。)

学生時、気に入った骨董品店に喫茶室がありました。この店でお茶を飲みながら骨董品を
眺めるのが好きでした。

そしてある菩薩の版画絵を気に入り、店主へ交渉しました。
白黒の地味な版画ですが、なぜか妙に心に残り、いつも手元に置いて眺めていたい気持ち
になりました。

確か数万ぐらいでしたが貧乏学生だった自分には高額でした。

短期バイトの予定が入っていたのでそのバイト代で支払うことになり、仮予約が出来まし
た。

短期バイトが終わり、念願の版画を買えて私はご機嫌でした。
(でも学友達には「うわあ~、ババくさ~。なんでこんな古びた絵なんて買うの⁉」と、
大変不評でした)

ある日、ご縁のあるお寺へ行き、この版画の話をすると、お上人様がぜひ見てみたいとい
う流れになりました。

日を改めて版画を、お上人様に見せました。

「あれ、この菩薩様、⚪⚪⚪様(祀神)だよ」

「⚪⚪⚪⚪⚪菩薩」と版画字で菩薩様の名前が記されていましたが、呼び名が異なっていたの
で私は気づきませんでした。

実は私の実家では、この⚪⚪⚪様を脇士として祀っています。

知らずに私は実家でお祀りしている神様の版画の絵を購入したことに…。
本当に驚きました。

この⚪⚪⚪様は、人生開運・災難消除・根性と信念を守護するとされています。

根性無しの自分には、うってつけの神様のようで…。
あれから10年以上経ちますが、なぜかこの版画は手放せず、いつも一緒にいます。

仏教の神様は多数いらっしゃる中で、たまたまこちらの版画の菩薩様に出会えた。こうい
う偶然ってあるんですね。

今も私の部屋で穏やで蓮花のような微笑みを浮かべています。正直、御守りのような存在
です。

※また心霊系の話じゃないじゃないかと突っ込まれそうだが、神仏と結縁する象徴的なお
 話なので採用させて頂きました。
※朝子さん自身気づいていないかもしれませんが、これで祀神様との結縁が出来ています。
※神仏との結縁は何気ない日常の中で行われるものです。
※神仏画や像には間違えた名前で通っているケースが少なくありません。見抜くにはそれ
 なりの眼力が必要です。
※この版画は朝子さんの生涯のお守りとなるでしょう。




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