【不思議な話】峠の昔話
県境の山脈、峠がいくつもある地域にまつわる昔話・伝説って似たもの沢山ありますよね。
春には桜、夏にはお祭りの花火の穴場スポットとして、旦那や友人夫婦と何年か通ってい
た場所があります。
いつもの駐車場に車を停め、旦那と少し登った先にある桜の木を目指していた時の事。
海に近い緩やかな下流にかかる、山を背にした大きな橋の袂に、30センチ位の正方形の
白っぽい石がある事に気づきました。
何かのオブジェ?休憩用の椅子代わり?なんて思って、その時は目にとまった位でした。
2人で歩いていて気付いたのは、ガードレールに施された絵巻物のような彫刻。
私の地元では幼稚園で父兄が演劇した事もある昔話だったのですが、旦那は知らなかった
ので歩きがてら、かいつまんで彫刻の昔話をしました。
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山仕事中、大蛇に遭遇した男がその大蛇を倒し、家族に内緒で蔵に味噌漬けにしていた事。
男の妻が瓶の中身が大蛇とは知らず、男の留守にその味噌漬けを食べてしまい、止められ
ず食べ続け、気づけば大蛇になっていた事。夫と子を残して山に入る妻。
ある晩、旅の琵琶法師が峠で琵琶を奏でていた時、その音色に癒されたと大蛇が話しかけ
てくる。
村のある地を嵐で水没させ、大きくなった自らの住処とするつもりだと。他言無用で話せ
ば命をもらうが、琵琶法師だけはその難から逃れてほしいと。
琵琶法師は村に着くなり鉄の釘を用意させ、皆に山に登り、釘を打ち、備えるよう伝える。
嵐に負けず、大蛇を封じた村人は皆助かったものの、琵琶法師の姿は無かった。。。
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旦那と2人で歩いて目指した桜の場所には、その琵琶法師の石碑があり、橋の袂から続く
彫刻ガードレールはそこから始まっているようでした。
昔話の解釈は人それぞれだと思いますが、旦那は大蛇派?で、大きくなって住処を変えた
かっただけなのに、琵琶法師の裏切りだ、退治するのは人間の勝手だ、なんて憤慨してい
ました。
所縁のある場所で、昔話をするのもなぁ…なんて思っていると、景観を楽しめるように設
置された木製の屋根付き休憩所辺りで、またあの正方形の白い石がありました。
目の前にベンチがあるし、椅子代わりじゃなかったのか、と近づくと、その場所だけ白い
石は6個円形に配置され、外側には丸みを帯びた六芒星のような紋が施されてる事に気づ
きました。
その中心15センチ角だけ、なぜか砂利。周りはずっと比較的新しいアスファルトのしっ
かりした歩道なのに。
なんだろうこれ、そんな気持ちで桜のついでに写真に撮っただけでした。
以前、夢幻美術館にアップした時、桐生さんからは『害は無い』判断頂きましたが…
画像データとして後日確認した時、周りの景色に重なって、こちらをヒタ、と大きな目で
みている人の身長サイズの蛇と、空に向かって嘆いているような表情の女性が視えました。
何百年単位の昔の話でも、どんなに道路整備が進んでも。こういうモノはヒッソリと新し
くしつつ、残すのだろうかと考えさせられる写真でした。
興味本位行動が申し訳なくて、その白い石の囲い写真データは削除しましたが。
その昔話の封じの場所の対岸にあたる橋の袂、駐車場付近に、梵字が刻まれた馬頭観音の
古い石碑もあるんです。
以前動画で色の変わる草がツンツン示した先、建物の裏手にあった馬頭観音の石碑に今年
は誰かが丁寧に祀ったようで、花が生けてありました。
行く度に手を合わせて挨拶はしますが、示された意図はわからないまま放置してましたね
(^^;;
夢幻美術館の馬頭観音像の話題で、思い出した話でした。
※大蛇に心情移入する旦那様も随分変わっています。
※蛇を封じる手法を知っていた琵琶法師は陰陽道に長けていたと推測されます。
※白い石は陰陽道における魔封じの跡でしょう。
※馬頭観音は水と深く関わりを持つので、大蛇を封じる際に建立されたのかもしれません。
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