【奇妙な話】叔母の宗教

 桃子さんの投稿。

父方の親戚筋で、誰の目にも不運続きな一家がある。

男の人は絶え、中年のおばさんとその母親の二人きりで住む家は、幾度も火事になった。

なぜか昔、私が16、17の頃、そのおばさんと、密に付き合った時期があった。
その時の体験。

親戚の集まりでそのおばさんが私の手相を観てくれた事から話が弾み、
私は単身上京し独り暮らしする直前だったということもあり、
おばさんが、
『お祓いに連れてってあげる!』
と言った。

私は(怪しいとこだと嫌だな…)といぶかしく思いつつも、単身上京という節目の手前、一
度見に行くことにした。

おばさんの入っていた宗教は、とても有名な所です、
電車内には広告、教祖は著書多数。
著名な神社の拝殿横でも著書やパンフレットを見たことあり。

おばに連れられ小さな支部を訪ねると、中年の女性が丁寧に対応してくれた。

人を観る目だけは自信があった私、

祈祷をお願いすることにした。

その方は本当に変な悪い、黒い人ではなかった。

そのご祈祷とは、
“地獄に墜ちた先祖を救う”というもの。

目は絶対に瞑ること、手を合掌したまんまにすること、が、唯一言われた事だった。
(嫌なものを感じたら適当に逃げ出そう。)
思いつつも、委ねてみた。

祝詞がリズミカルで、
上げてくれるその女性が『ホ~ッ‼』と何か誘い出す様に唱える度に、
身体が宙に浮くような、上に引っ張られる感じがする。

『水子も居ることでしょう、喉が乾いている者も居ることでしょう…』

語りかけられる度に嗚咽がもれ、涙が止まらない。

段々頭がぐるぐる回りだし、
最後、
『さぁ船に乗り上がりましょう!』
と言われた時には、温かい歓喜の涙と共に、本当にスッキリした気持ち。

私はその当時摂食障害で苦しんでいたが、
『祈祷前日に桃子さんを思っていた時、何か苦しい気持ちが伝わってきましたよ。』
と言われる。そして、
『本当は東京は今年桃子さんにとっては大凶の方角だが、
敢えて飛び込み早く厄を自ら祓いに行くのも悪くない。しっかり頑張って!』
と激励。

風邪の咳をこらえながら懸命にあげてくれたその方は本当にいい人に感じた。

その後晴れて上京し、辛い事があり、ふと思い出してその新興宗教を訪ねてみた。

するとなぜか、私が若い、若すぎると、
そこに居合わせた中年以上の女性信者たちから一斉に嫌味攻撃される。

『こんな若くからここに関われて羨ましい!早く開運してしまう!』
らしい。。

(おばの支部とはえらい違いだ…)

と恐怖を感じ、
愛想笑いしながら適当に逃げ出そうと出口に向かっていたところ、

『ちょっと握手させて?』
と、中年の女性に手を握られる。
と、手がピリピリ痺れる。

唖然としながらも、(負けないぞ!)と、握り返すと、
ビリビリは余計強くなった。

『あら、この子も凄いわ、私も凄いけどっ。』

何とか振りほどき帰宅し、それっきりである。

あのご祈祷と、
あの握手の事をなぜか久々思い出したので、

慎さんに詳細をお聞きしたいなと思い、投稿させて頂きました‼m(_ _)m

ちなみにその新興宗教、
都会の駅前でよく若い信者の方がユーモアたっぷりに勧誘しています。(そんな事するか
ら怪しいのに。)

著書もユーモラスな内容で、明るさ・掃除・善行の上での神様への信仰を説き、
全然著書は全うだと感じました。

東京支部の雰囲気が残念。

また、祈祷して下さった女性も全然普通でいい人。細やかな気遣いと感受性を感じた。
おばの方がむしろ危うい雰囲気でしたm(_ _)m

おばとは年々疎遠になり、
今はどんな状態かは、わかりません。

※私はこの新興宗教がどんな物か分かりませんが、先祖供養の手法は想像がつきます。
※発声法と受けた感覚からして、この中年の女性は本物でしょう。
※おばさんが、本物の霊能者と知己なのになぜ不幸に襲われるのか分かりません。
※帰り際の言葉も人格者の程を伺わせます。
※ただ、新興宗教は教祖やその周辺がいくら優秀でも、末端から腐る傾向があります。
※能力開発系の新興宗教では教えを理解せず、下らぬ能力自慢に走る人が増えます。
※東京支部の女性は『気』を桃子さんに送り込んだのでしょう。
※人に向かって九字を斬る様なとんでもない行為です。
※なんにせよ、組織に人の幸福を妬むような人間が集団でいる宗教は終わっているでしょ
 う。




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