【怖い話】山奥の村で:赤い着物の幼女

 朝子さんからの投稿。

知らずに住んでいた山奥の村は心霊スポットで、いろんなことが立て続けにありました。
山深い職場で社員寮に入っていた私は、休日に村中を歩いて写真を撮るのが好きでした。

四季折々の野の花や河に魅了されていましたが、過疎化が進んでいる区域で民家はほとん
どありませんでした。

秋ぐらいの時期でしょうか。
仕事の休憩中をベランダで過ごしていた時、遠くに赤い着物を着ているおかっぱ頭の幼い
女の子に気づきました。
遠くにいたので豆粒くらいの大きさでしたが、艶やかな赤い着物のため、すぐわかりまし
た。

田舎でもさすがに着物を着ている村人は見かけなかったので珍しいなあと思っているその
時、

豆粒ほどの大きさで見える遠距離にいるはずの女の子の頭部が、私のすぐ目の前に直径1m
ぐらいの大きさで現れました。

あまりのことに悲鳴をあげることは出来ずに、まじまじと頭が巨大化した女の子から視線
を外すことが出来ないでいると、

『わたしが見える人間がいるのか、珍しい』

という女の子の声と言うよりは、成人女性らしき声が私の頭の中に響きました。
一緒にベランダにいる同僚達は、誰もこの女の子に気づく人はいません。

ほんの数十秒ぐらいでしょうが、私にはかなり長い時間のように感じました。

そして一瞬で女の子は姿を消しました。
なにがなんだかよくわからなく、頭が少し混乱しました。

後日、女の子がいたと思われる場所へ行くと、そこはある民家の庭で古びた祠が多くあり
ました。
朽ちて寂れた感じで、祀り事はしていないようでした。

今でも、あの赤い着物を着たおかっぱ頭の女の子が何であるか、わかりません。
ただ、どことなく禍々しい雰囲気を感じ、あまり良い存在ではないことだけは理解は出来
たくらいでした。

※幼女の正体は幽霊などでは無く、禍ツ神か妖怪の類いだと思う。
※霊を視ている時、霊の側もこちらを視ていることが多い。あまりジロジロ視ないことだ。
※幼子の姿で現れる霊の類いは凶悪で強力なことが多い。注意が必要である。
※朝子さんは、いささか見えすぎるきらいがある。心配である。




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