【不思議な話】白い狩衣の人

 朝子さんからの投稿。

投稿話です。

学校を卒業して数年後、たまたまドライブの途中に寄ったに田んぼや森の緑深い所で、かなり規模がある神社を見付けました。

人気は無いけど掃除が行き届いてきれいで静かな鎮守の森のような社が気に入り、よく訪れてました。そんなある日。

境内で平安時代の貴族が着るような狩衣を身につけた男性がいました。
その頃は、すでにいろんなものが見えていて、特に感じが悪くなかったので気にしないでいると、

「この頃は人が来なくなった中、よく来ているお前がいて嬉しい」と頭の中に男性の声が響きました。

品のある色白の肌に細身の顔、ややつり目、白い扇を持った狩衣を着た男性とは、それから時々、少しの会話をするように
なりました。

昔の参拝者(着物を着た農民)が沢山いて実った作物を神社に捧げている映像が見えたり、夕方に訪れたら男性の足許に餓鬼
のような化物がいて、「夕闇時に来るな」と叱られたこと。
いろんな思い出があります。

「人から忘れられていくが、私はここから動けない。神であっても人から忘れられるのは辛い」と話されたことは、今でもよく覚えて
います。

今は引っ越してしまい、御参りには難しくなりました。

あの優しい神様は、今でも人気のいない社でいられることを思うと、とても寂しく感じます。

※私も寂れた神社や祠によく呼ばれ、供養を求められますが、朝子さんの様に見えたり、 会話を交わす能力はありません。
 朝子さんにとっては良い事ばかりではないでしょう。※人から神へ転生した存在はある意味地縛霊で、その霊力は信心から生まれます。
※この神にとって、定期的に参拝する朝子さんは本当にありがたかったのでしょう。
※神社は本来、人外の場所で、陽が落ちれば通ってはいけないのは、常識です。
※神の時間は、人のそれとは異なりますが、忘れ去られる痛みはよく分かります。




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