まほろば國行(PITさんバージョン)
  人工の音の無い場所にいる。
  最近経験する事が少なくなってしまった当たり前の事の一つがそこ
 にはあった。

  1999年12月18日01:00東京出発。
  東名高速は順調な流れをみせているが時折団子状態になる、暮れの
 過積載車なのだろうかが原因になる場合が多かった。
  神奈川を過ぎ山間部に入ると街灯が無くなる、自車のヘッドランプ
 と反射鏡のオレンジの点がなければ、先のカーブが左右どちらか判ら
 ない状態が続く、いつもこの辺では頭痛がする。

  名古屋に入る頃には陽が出ていたが曇天で時折雨がフロントガラス
 を打つ、奈良の天気は良いとよいがと祈りながら車を進める、このあ
 たりだと流石にCDに飽きがきはじめトライガンからブルースブラザースに変え
 たりして気分転換する、奈良までの名神は長い、いつもこの辺は気が
 急いてくる、何故かわからない。

  針インターチェンジが近づく頃、いきなりトイレに行きたくなる、
 この付近はサービスエリアが少ないので針に出てからコンビニを探す
 が、あいにく見つからない、唯一当てがあるのが雄神神社の駐車場だ
 った。
  すでに選択の余地が無くなってしまったので、記憶を頼りに左折す
 ると国津神社が、(^^;ラッキー間違い無いようだ、しばらく進むと丘の上
 の雄神神社がみつかる、慌ててトイレに駆け込み用を済ますと、社に
 お礼のお参りをして駐車場へ、この時風が丘を廻るく巡ったのが心地
 よかった。風が強いが、悪い天気では無かった。

  速度が思うに任せられなかったせいか、桜井に到着したのは09:
 15程だった、Mr,donutでメンバーに合流、アップルパイとマフィン
 をコーヒーで頂く・・・・おもえば静岡名物キティちゃんの安倍川餅
 以来の食料だった( ̄〜 ̄;あ・味がわからん。
  SINさんがなにやら、鞄の中を探しています(..;「デヂカメ忘れ
 た・・・」(゚-゚ノ)ノ (゚-゚ノ)ノ (゚-゚ノ)ノ ドッシェ〜
  「・・・私もカメラ持ってきてフィルム買い忘れていたけど・・・
 さぁ、一緒に写るんですを買いに行こうB( ̄ ̄;」などと訳の分からな
 い事をいいながら店を出ます。

  大雑把に行程を決めて出発、阿紀神社へは長谷寺の線路を隔てて反
 対側位な気分でナビ設定し進む、順調に進みナビから「目的位置付近
 に到着しました、ルートガイドを終了致します」の音声が出たときは
 、ほぼ同時に「終了するな〜!」とSINさんと叫ぶほどなにも無い
 場所でした、取りあえず路のはずれた場所にポツンと表示された阿紀
 神社を見つめていたSINさんが「・・・聞いてくるわ」と言い残し
 ハイカー達に聞きに行きます。
  農道を通って「あれかな?」な森を目指して進むとちと面倒そうな
 ススキの丘の向こうに鳥居が(^^;ホッどうも裏側から入って来たようで
 す。
  鳥居をくぐると、駐車スペースがあって冷たい風の中、車から出ま
 すと、最初に目に付くのがお神楽の舞台でした。
  下手方向から演者の路があるほか、舞台に上がるところの無い四角
 い空間。その下手の路すら階段もなく、空に向けて口が開くだけでし
 た。

  その奥にお社が。先程のススキの丘が北方向ですから南に向いて建
 っています。まるでお蔵の様に空っぽな印象があり廻りをまわって、
 北側のススキの丘を双眼鏡で観察したりして戻りますと、お神楽を観
 る様に並んだ社が二軒、それぞれ三柱の神様が祀られておりました。
  φ(..;なるほど〜奥が深い。

  参拝が済み、あちこち見て回っているうち、川の向こうの山に一部
 ポッカリ穴が開いた場所があり興味があるんで行ってみます(^^;
  鬱蒼とした木立に邪魔されていますが、中は結空間があり何かの通
 り道の様なものが幾筋かあります。急斜面をSINさんと昇ると、一
 瞬八王子の山で父と自然芋を採りに行った頃を思い出します。(土の
 質が違いますが・・・八王子っ石が多くて(^◇^;)
  デヂカメで撮影などしてから下山、ふと川に禊ぎ場のようなモノを
 みつけて眺めていると、駐車場に戻ったSINさんに何やらあったよ
 うです。行ってみると日出倭さんに借りたデヂカメのCFが壊れたそ
 うで(^◇^;あんなん撮るから・・・。

  なんとか気を取り直して、一行は八咫烏神社へ

  八咫烏神社も道しるべのない神社だった。付近まで見鬼の案内で進
 むがそれらしい物がなく、またSINさんが徒歩で探しに行く(^^;。
  しばらく待つと携帯に連絡があり目の前の信号を左に行くと鳥居が
 見えるとのこと、一同出発すると、なるほど道の左に鳥居があり畑の
 真ん中を参道が通っている。

  最近改装してばかりの様子で綺麗に整ったその神社は、最初にある
 のがお神楽の舞台でその右手の急斜面の階段の上に社が鎮座している
 玉砂利の敷き詰められた舞台広場の広さから対照的に社の廻りはこじ
 んまりとして、人を寄せ付けない雰囲気がある。

  社の背にした山の頂に行くと整地の途中なのか倒木されて空き地に
 なっている。四方見渡せるほど開けてはいないが、この道程で気にな
 っていた山の位置などが望めて面白い。
  そろそろ、昼食の時間なのでっと見渡したかぎり国道からはずれた
 この辺にレストランらしき物を見つけるのも難しそうなので、とりあ
 えず室生まで行って食事にしようと言うことに決まる。

  すでに昼を越えた頃の割に人出が少ない気がした。
  室生寺までの道路工事も大方終わった様子で、あの頑固そうな岩肌
 をしたこの辺の地質が奇跡の様に整備されている。
  奥の駐車場に駐車し橋の入り口の食堂で食事をする。
  何故か、川の見える窓際に座って、いつものように後悔してそうな
 SINさんと目が合う。私と日出倭さんは机のほうに座る(^^)
  
  この日、川の水は本当に冷たそうだった。

  食事を終えた一行は室生寺参拝となった。
  三輪オフのセットメニュウになりつつある室生寺だが、ここも毎回
 違った面が観れて面白い。今回は時間も無く五重塔の修復作業の邪魔
 にもなりそうだったので奥の院には行かずの参拝となった。
  五重塔修復の鎚音のほか静かだった、印象が強く残った。

  静かに参拝が済み、龍穴神社へ向かう。
  冬至の重い空気がこの神社の鳥居からすっかり重く感じてきた、左
 に流れる川のせいか、トイレが改装したようだからなにか地脈でも切
 ったのか鳥居で止まるはずのモノが左に流れて行っていた。
  参拝を済ますと、狛犬の方で日佳里さん達の悲鳴がします、ど
 うやらご神木の枝がいきなり落ちてきたと言います。物理的に危ない
 目に合うのは久しぶりだな(..;
  
  SINさんがこの事態に居ないのが不思議で、件の左方向をみると
 ラン2さんと左の川をみながらなにか説明している。その右後方数メ
 ートルにいる祟り神には気が付いていない様子だった。
  不思議だなぁ、飛びかかろうとしているのに飛びかかれない様子で
 イジイジしている。暫くするとSINさん達もこちらに戻ってくるの
 で、諦めた様に景色に溶けていってしまう。
  (゚゚;タラ〜っとしているとSINさんと目が合うが、何もなかったん
 だし説明はさけてまた山道にを進む。

  「岩戸神社はどうしましょうか?」と言うと「・・・初めての人も
 いるし、寄って行きましょうと」言うことになった。
  なんだかんだ言って夏至には近づかなかった岩戸だったが、今回は
 問題が無いようだし興味もあったので多少の事は覚悟してその岩磐の
 間を行ってみる。
  岩磐の向こうは谷の様になって今来た道が望める。予想より開けて
 いないの以外だった。
  岩磐の間は浸食のせいか土が流れて岩同士の隙間が奥まで空洞にな
 った部分が多かった、何かを抑えた場所と言うより目標にされたもの
 なのかもしれない。

  誰言うでもなく、なぜか記念撮影と言うことになって写真を撮る。

  吉祥龍穴の水は夏至の頃より少なく、最初の情景に近いのだがこの
 日はここだけ日が射して見えた。
  陽の当たる龍穴を川上から覗いてみたくなり、道をそれて川上の岩
 場へ。光量も良く今回は上手く写真に撮れそうだと思いシャッターを
 きるが社のお賽銭箱に妙な顔が浮かんでみえる、丁度社にたどり着い
 たSINさんと目が合うが、あちらも何か気が付いた様子で、意味あ
 りげに手を振ってくる。SINさんがいるなら問題もなかろうと思い
 手を振り返して、上流に行ってみる。

  上流には石柱と思われる形の(自然石にしては人工的すぎる)岩が
 転がっており、その上流には小さな滝がある、滝の先は少々複雑な回
 り道になりそうなので、一礼して龍穴にもどる。

  本来の道に戻り社に行くと、件の場所にロウソクが灯してある。
  SINさんにしてはおかしな事をするなぁなどと思いながら参拝を
 すます。帰りまでには燃え尽きているだろう、燃え尽きなければ、こ
 の社は全焼だなと漠然と考えながら、龍穴の岩棚に行く。
  暫く座っていると、微かに振動が身体に伝わって来るのが判る、雄
 神の岩磐と共振しているなら地脈は同じなのかなとか考えながら、こ
 こは水が少ないと本当に静かだと実感した。
  何の犠牲も無かった訳ではないだろう、むしろ結構凄惨な事があっ
 た様なきがするこの地だが、聖地になって今は潤っている様だった。

  暫く、のんびりしてから宿へと向かう。
  ロウソクは燃え尽きていた。

  桜井駅前に夕暮れに到着、荷を解き案内された部屋へ入り暫く談笑
 する。
  食事の後、買い出しに行くがこの日の桜井は骨の髄まで凍りそうな
 ほど寒かった、近所だからと薄着で出た一同、とたんに後悔すること
 となる。
  駅前ストアが開いているのを見つけて文字通り走り込んだ。
  結構品数が豊富で、薬局まである。一応、リポDを購入。FKYOTO紅
 葉オフの印象が強かったらしく、SINさんがあの日、死にかけた様
 になった私がリポD一本でいきなり様子が変わったなどと話していた
 。ホメオスタシスって奴さ(^^)b
  就寝まで、大部屋で談笑する。
  就寝・・・(○_○)zzZZステレオ センサラウンド・・・・・

  妙な音がする、目覚ましだった。仕掛けた本人が忘れていた、私だ
 バキッ(.☆)\(^^;。
  朝食でコーヒーが出たので、沸かす手間が省けた。

  大神神社駐車場で当日参加組と合流、大神神社へ。
  参道から、社が見える場所に達した時、その屋根が銅葺き屋根にな
 って見え「なんだ銅葺きにしちゃったんだ」と独り言を言いながら進
 むと、それは緻密なまでに積まれた藁葺き屋根だった。
  社の前に佇み偉容に押されながら、「捨てたものじゃ無いなこの國
 も」と、珍しく感動してしまった。

  神社参拝を済ませ、狭井神社より登頂へ向かう。
  まだ、台風の痕は大きく残っている為、微妙にコースが違っている
 様子だった。昇り傾斜がキツイのだろうか肉体的には結構辛い様だっ
 た、休憩を入れると皆大粒の汗をかいている。私的にも足が絡む時が
 あり・・・あ!もう歳なのかしら(;_;)とか思う瞬間もしばしあったり
 した。

  取りあえず、報われる為に苦労が在るわけなのが登山な訳だが、こ
 の日の頂上からの絶景も、また素晴らしかった。
  時間もいつものそれと大して違わないのだが、今年は参拝者が少な
 く静かな時を過ごせた。今回の冬至オフで一貫していたのは静けさだ
 った様に思う。

  参拝を終わらせ、奥岩磐に行く。気が付くと一人だった。
  下りの岩磐を参拝して、いつも気になる窪地に一礼すると、皆の方
 へ戻る。途中、奥の岩磐の前でSINさんが瞑想している、そのそば
 の切り株に腰を下ろして日出倭さんも瞑想しているので、付き合う気
 になってSINさんの後ろに立つ。

  風が梢をなぶる音と、梢同士がこすれ合う音以外しない中、静かに
 時間が流れていく。
  日出倭さんの体調も悪くは無いようだし、SINさんの背中も今は
 それほどでも無さそうだった、後何回こんな時間が過ごせるんだろう
 とか考えていると、風が足下から日出倭さんの方へ流れた。
  瞑想を中断されたのか、目を開けた日出倭さんと目が合う。黙礼し
 て日出倭さんは社の方に戻って行った。

  暫くすると、しげさん達が奥の方から昇ってくる。
  私の顔をみると、妙な顔をする。一本道なのにすれ違わなかったの
 が変だと言う。言われてみれば確かに(^^;誰にも会わなかったな。
  そんな中、戻ってきたSINさんと下山する。(..;なんか、駆け下りてないか?SINさん。