三輪山探訪記(2) 1997/12/20探訪
修復前の大神神社 |
みなさん、どうも。
SINです。
12/20から12/21と言う日程で三輪山とその近辺をお参りさせて頂きました。
今回は夏至の三輪山の話にに興味を持たれ、メール交換等で仮に異変があっても行
きたいと表明された方が新たに参加されました。
私は二回目になりますが、やはり新たな発見があり、単なる物見遊山で行く場所で
はないなとの印象を強くしました。
さて、初日はデフォメンバーのPITさん、修羅さんに、霊媒カメラマンの杉山さん,
マッパーになってしまった虹<2G>さんが,朝9時に三輪山の二の鳥居前に集合しまし
た。
虹<2G>さんが事前に調査をして下さり、三輪山にはその鬼門に近い方角の野野上岳
に「奥の院」と呼ばれる雄神神社がある事が分かりましたので、車でこちらを調査す
る指針となっていました。
奈良の地図をお持ちの方は地図をご確認下さい。
野野上岳と福地岳,三輪山を結ぶと直角三角形を構成します。
又、福地岳は春分・秋分の日の出ラインを伊勢の夫婦岩から三輪に結ぶライン上に
ある山です。このラインには倶留尊山・室生龍穴神社・長谷寺が存在します。
雄神神社は都祁村にありますが、この地名も古事記の記載と関連があるのかななど
と思い,大きな期待を雄神神社に抱いていました。
修羅さんには柘植の櫛を買って来てくれ等と冗談を言いました。
鳥居をくぐり大神神社に向かう参道で強く感じたのは、夏至の三輪との違いでし
た。
夏至の境内は気の圧力が凄まじく,参道のあちこちに、人ではない影が警戒に現れ
ましたが、今回は気がとても柔らかで心地よいのです。
まるで良く整った普通の神社です。警戒の影はありません。
ただ、入って右側が何故か断崖のように感じました。結界の種類が変わっているの
です。左側は前回は引き込む邪な力がありましたが、今回はありません。それで余裕
を持って観察が出来ます。左側が竹藪である事には前回は気づきませんでした。
大神神社は大改装を行っており社殿が左側に新しく作られています。
監視カメラが何故か山の頂上へ向けて設置されているのが気になりました。
今回は前回のようなスリリングな出来事はありませんでしたが、大きな発見があり
ました。ただ、残念な事にその発見の殆どが公共性のある場所に書き込める内容では
ありません。執筆に苦慮しているのが正直なところです。
さて、私たち四人はまず狭井神社に向かいました。
翌日はお子様も含めて総勢14名と言う団体になるので、事前にお断りをしておこ
うと思ったのです。
参道を通っていて「おや?」と思ったのは、前回はあちこちに三人一組で警戒に当
たる実体のない影があったのですが、今回はありません。ときおり木の陰からこちら
を伺う気配があるのみです。PITさんも小首を傾げています。
狭井神社手前の参道の右横のにため池があります。前回は黒々とした水が湛えられ
て、どこか禍々しい気があったのですが、今回はその水が殆ど抜かれて底が見えてい
ます。前回は分からなかったのですが、底には石で組んだ荒い作りの門がありまし
た。全く無意味な所に建てられています。
何者がこの門をくぐるのかと思うと少々薄ら寒い思いがしました。
我々がこの池を眺めていると白い鷺のような鳥がいずこともなく現れ、いったん我
々の頭上を旋回してから対岸に着地しました。
具体的に説明すると長くなるので省きますが、白鷺は金属精製の象徴として古代の
説話に使われる事が多く、倭建命が白い鳥になった話などもあります。また、私と
PITさんは象徴としての白い鳥をネックに様々な記録を調べていましたので、そのタ
イミングの良い偶然に思わず目を合わします。
鎮女池は前回女性の影を見たのですが、今回はやや右奥に三体出現していました。
「今回は三人ですね」とPITさんに声を掛けると、無言で頷き返事がありません。
見ると非常に険しい表情をされていました。
狭井神社に入りますと、修羅さんが「オルゴンが見えるかな?」と喜々とした声を
上げます。
修羅さんは三輪に来ると身体の底から喜びがこみ上げるようで足取りまでが違いま
す。
修羅さんに「霧雨みたいですね」と声をかけると、これから見る所との返事でし
た。杉山さんから「オルゴンとは何ですか?」との質問がありました。
こういう説明をする知識はないのでPITさんに後を任せて、社務所にお断りを入れ
に行きます。
神官の方が「ご自分の責任でお願いしますよ」とおっしゃられたので、多少、冒険
をしようというこちらの心を見透かされた思いがしました。
みなさんの所に戻ると修羅さん、杉山さんが「オルゴンが見えた」と話しています。
気のせいか杉山さんは多少興奮気味に見えました。
虹<2G>さんは微笑みを浮かべながら無言でしたが、見えたのかな?
さて、雄神神社に行くべく、狭井神社の鳥居を出ました。
前回はその異様な気の圧迫感から写真撮影はしていませんでしたが、今回は撮れる
ような気がします。
「写して大丈夫ですかね?」とPITさんに尋ねると、「猿がいますよ」と鳥居右側の
大木の上を指さします。
なるほど、半ば実体に見える猿の幻がいます。私が見ると、睨み返した後、別の木
に飛び移るようにして消えました。
「大丈夫になったようですね」PITさんがそういうので、私はデジカメで資料として
撮影しました。
狭井神社から大神神社への参道には小さな社が山側に点在します。
少名彦を祀る岩へお参りしますと、突然、私のPHSが鳴りました。
「こんなところで鳴るのですか?」と杉山さんが驚きの声を上げます。
「何故かポイントでは鳴るんですよ」と応えながら電話を見せます。アンテナは全て
立っています。「開けた場所に出るとアンテナが減りますよ」と付け加えます。吉祥
院さんはPHSを持ったまま参道へと出ます。見る見るアンテナが減って行きます。
不思議がる杉山さんに「霊波と電波は似ているのかもしれませんね」と応えまし
た。
次に活日社に参ります。
社の後ろ、右手の崖と左手の山が結界で分けられています。見ただけで右手に障気
の固まりがあり、左手が澄んでいるのが分かります。
悪戯心を起こした私は杉山さんに「まず、右手に入ってから左手へ行くと面白いです
よ」とけしかけます。
けしかけておいて、杉山さんが右手に入るのを見守っていました。
入ったとたん、杉山さんが「うわっ」と声をあげました。「どうしました?」と
尋ねると蜘蛛の巣に突っ込んだと顔をしかめます。
ここでも蜘蛛の巣かと、私は不謹慎に笑いました。
PITさんは心配したのでしょう。杉山さんに続くと崖を見下ろし、また、表情を強
ばらせます。
黙ったまま、戻って来るので「何かありましたか?」と尋ねると「誰か呪法をして
ますね」と言います。私は結界の外から崖を見下ろしました。
絶句しました。
稚拙ではありますがイザナギ流の呪法です。
「ここでやりますかね?」と言いますと「鉄砲玉はどこにでもいるのですね。可哀想
に」とPITさんは言います。
顔をしかめて戻って来た杉山さんに「次は右手に行きなさい」と私は言いました。
杉山さんは不快を示します。
「行った方がいいです。こちらは清浄ですから」と促します。
左手に入ったとたん、杉山さんは「全然違う」と声を上げます。温度まで違うと言
います。
修羅さんが同じように両方入りましたが、彼女は何も感じなかったそうです。
この後、私が前回冒険した神宝社にお参りしました。
参道に入り驚きました。空気が張りつめガラス化しています。
冷たくはっきりとした拒絶が感じられます。
前回登った崖を見上げて、私は思わず声を漏らしました。「こんな所に俺は登った
のか?!」
高さは前回の倍に見えますし、なによりもその拒絶の結界の強さが並ではありませ
ん。PITさんが苦笑を交えながら、「登ったんですよぉ〜 だから、止めたのです」
と言います。
あの時の自分の異常さが今回初めて分かりました。
前回の簡単なおさらいをした私たちは、車に分乗して雄神神社へ向かいました。
今回、私は三輪山を中心に夏至ライン・冬至ライン・春分秋分ラインを書き入れ、そ
こから導き出される直角三角形・二等辺三角形を書き込んだ地図を用意していました。
皆にそれを見て頂き、雄神神社がどういうポイントなのかを解説した後、車に分乗し
ました。
PITさんの車にPITさんと修羅さん。杉山さんの車に杉山さん、虹<2G>さん、私が
乗ります。カーナビを搭載するPITさんのパジェロジュニアが先頭です。ハンドルを
握るのは修羅さん。とても他人の車を運転しているとは思えぬハンドルさばきで、かっ
飛んで行きます。
「運転に性格が出てるなぁ〜」と嘆息すると、杉山さんが吹き出します。
針インターに向けて369号線を北上します。
「ミロクとは又、嫌な数字を・・・・」と呟きますと、杉山さんが訝しげな表情を見せま
す。馬鹿話をしていると、パジェロは、細い道を右折したらしく、姿が見えなくなり
ました。
携帯電話で確認しますと、「K神社のところで待っている」との事です。
私の地図にはその神社は載っていません。内心、(ここでK神社かよ・・・・・)と強
張る思いを感じます。
K神社前で無事合流します。雄神神社への案内板もありましたが、字が違いました。
拝神社となっています。
K神社が放つ気に私は首をすくめていました。高い石碑の上から人が覗き込んでい
る気がします。
再出発したパジェロは何の躊躇を見せずに細い道を何度も何度も曲がります。
その曲がり角の所々に祠や石仏が置かれています。(なんて濃い道を通るんだ?)
などと思っていますと、いつの間にやら我々は農道に出ていました。地元の方以外は
通りそうのない道です。本当にこの道で大丈夫なのかと我々三人は不安を感じました。
「PITさんのカーナビは特殊ですからね。勝手に指示してもいない神社へ誘ったりし
ますから・・・・」
そう切り出して、過去の奇妙な体験などを語っていますと、パジェロが止まりまし
た。道をロストしたと言います。(オヒ・・・・・)
この先が行けるかどうか確認してくると言うので、我々三人はL字型の農道で待機し
ます。右手はこんもりした小さな山。左手には畑が広がっています。
畑の向こうには山を切り開いた吹きさらしの台地が見えました。
違和感がありました。
私は車を降りて、煙草に火をつけ周囲を見回し、気を探りました。
(なんて土地を作るんだろう・・・・・)
そう思いながら車に戻りますと、虹<2G>さんが、「・・・・妙な神社がありますね」と
語りかけて来ます。「あれでしょう? 妙ですね」私は吹きさらしの台地を指さしま
した。
「何が妙なんですか?」杉山さんが訊ねます。
吹きさらしの台地には鳥居がぽつんと建っています。鳥居は正規の神社の形式通り
南向きです。鳥居の奥には階段があり、山へ登るようになっています。おそらくは山
の中に社があるのでしょう。
「結界のない神社は希有なんです」
私はその鳥居へ目を向けながら応えました。
「神社は汚れを嫌います。境内を浄化して清いままにするために結界を作ります。一
番簡単な結界は囲いです。あの神社にはそれがない。あんな形で鳥居を作れば何が集
まるか・・・・」
私はその後の言葉を飲み込みました。
その神社は本来は結界を持っていたはずです。何者かがあの神社を中心としたこの
土地に呪詛をかけている気がしました。
まさかその神社が我々の目指す雄神神社だとは夢にも思っていませんでした。
そのとき、携帯電話が鳴りました。
PITさんと修羅さんは雄神神社に付いたそうです。この場所からだと道が曲がりく
ねっているので、いったんK神社に戻り、そのまま直進しろと言います。
(K神社から直進?)
私は嫌なモノを感じました。車を進めるうちに杉山さんが「これって、さっきの神
社ではないですか?」と声を上げます。虹<2G>さんが「なんだ。すぐそばまで来てい
たんだ」と応じますが、私は声をなくしていました。
(違う・・・・)
その思いが胸を塞いでいました。
雄神神社・・・・
ほぼ三輪の鬼門に在し、ここの野野神岳と三輪山・福地岳は直角三角形を形成して
います。ポイント的に極めて重要な位置を占め、「三輪山の奥の院」と呼ばれる神社
が、ここまで廃れているのはどういう事なのでしょう?
私の期待と想像からは遙 かにかけ離れています。 そばまで来ると、やはり異 様です。更地にぽつんとある 鳥居。つい最近建てられた 白い灯籠。異様な汚れを感じ ます。私の側でPITさんが険し い表情をしています。その視 線の向こうにある者を見て、 私はPITさんに声を掛けました。 「見えますか・・・・」 「ここまで汚しますかね」 PITさんは非常に険しい表情を 見せました。 |
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雄神神社近景 |
鳥居を潜り社に登りますと驚く程小さな社ですが、鏡を祭りその上の額には「金銀
銅鐵」と書いてあります。金属に関わる神社である事がこんなに明確に示されている
事には驚愕しました。
今回、私はある意図を持って来ていましたので、大神神社・狭井神社同様、ここで
も芳名録に名前と住所を記します。
寂れているにも関わらず、芳名録には名前の記入が多いです。その中には大神神
社・狭井神社で見た名前もあります。その住所などがFKYOTOのMES7の神社関係
の話で出て来たものが多いのに驚きを覚えます。
社の裏は山です。禁足地です。
(こんなものではないはずだ!)
そう思っていた私はある程度、調査を行いました。やはりここは三輪の奥の院と呼
ばれる場所だったのだなと確信を得る発見がありました。
雄神神社本殿 | 雄神神社禁足地岩磐 |
PITさんと「K神社を調べればもう少しはっきりするかもしれない」と意見が一致し
ましたので、ここでも調査を敢行します。
はっきりしてしまいました・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
私とPITさんは、もはや言葉すらない状態になりました。
言葉がないので、ここでそれを書くことは出来ません。
「魔」それをここまで見せつけられるとは夢にも思いませんでした。縁のある人な
ら、ここを訪れればそれに気づくかもしれません。しかし、それは公の場で語っては
ならぬ事なのです。
杉山さん・虹<2G>さん・修羅さん。
縁から、幸か不幸か、それを知ってしまった方の感想はどうだったのでしょう?
ともかく、深い感慨を胸に私は石神神宮へと向かうのでした。
「神道とは何か?」
車の中で私はそんな事を考えていました。それほどに、雄神神社とK神社で見せ
つけられた呪法は、強烈で邪悪なものであったのです。
三輪山もそうですが、雄神神社は本来は清らかな聖地であったはずです。清らかな
気を私は雄神神社で感じています。しかし、それに触れさせまいとする大がかりな邪
法が施されていたのはショックでした。
一方で、最近になり、本来の清らかな姿を取り戻そうとする方の痕跡が確認出来た
のは救いでありました。
そうこうする内に車は天理市内に入ります。
信仰の街です。やはり空気が違います。
いきなり合掌造りの家が数件並ぶ公園のような場所が現われました。そこを通り過
ぎると左手に曰くありげな神社があり、次の角を右折しますと、石上神宮です。
駐車場に杉山さんが車を回します。
数匹の鶏の姿が目につきました。
一匹のなかなか立派な面構えの雄鳥がゆったり歩いて来ると、我々の車の前で立ち
止まります。車が近づいてもこちらを見据えて動く気配を見せません。
杉山さんは数度クラクションを鳴らしましたが、動じる気配はありません。
「からかわれてますね」私は苦笑しながら車を降りて、鶏を追い払いました。
私の所作はユーモラスだったらしく、後続のPITさん・修羅さんの笑いを取ったよ
うです。
石上神宮に入りますと、境内には多くの鶏がいます。右手には濁った池があり、そ
の向こうは森です。この池には「馬面魚」がいるそうですが、魚影も見えませんでし
た。
私達はどこでも雨には会っていないのに、ここの境内は雨上がりの様相を示してい
ます。奥には国定公園に指定された森があり、雨上がりの森が放つ独特の芳香が漂っ
ていました。
空気が美味しく清々しいものを感じます。深い呼吸をして、暫し森の気を楽しみま
す。
本殿に入りますと、なにやら宗教団体の方々が白装束に身を包み、懸命に祝詞を上
げています。集合場所の大神神社でもそうでしたが、なにかと濃い団体さんと出会う
日です。冬至と言うのは宗教上特別な日なのかもしれません。(冬至には祖霊を迎え
る習慣が昔あったそうですが・・・・・)
お邪魔をしては悪いので、私とPITさんは早々に本殿を退散し、本殿向かいの社に
登ります。(実は神殿ではなく、地中に神宝を埋めた場所でした)
出雲武雄神社とあります。ここで出雲かとPITさんと顔を見合わせます。
二人して本殿の楼閣にカメラを向けます。ほぼ同時、同じアングルでカメラを向け
たのに私のカメラにはPITさんとは違うモノが映っていました。
ここの灯篭も鹿の彫刻が施されています。春日の鹿は鹿島から来た霊獣の意味で
すが、ここや雄神神社の鹿にはどういう意味があるのか興味を持ちました。
社を降りて本殿の土塀に沿い、右回りにゆるやかな弧を描く地道を歩きます。
「もう少し行くと森の奥に入る小道があるはずです」
古い記憶をたどりながらそう皆に告げます。
確かに道はあったのですが、ご丁寧にたった今張られたような注連縄があり、「立
入禁止」と書いてあります。
昔は入れたのにと悔しく思い、無視しようかと一歩踏み出すと、森の奥から巨大な
老婆の顔が威嚇する幻影が脳裏に浮かびます。
どうしようかとPITさんを振り返りますと、「ちょうど(神様を)育てている所の
ようですから、やめましょう」といなされます。
で、そのまま歩きますと・・・・・外へ出てしまった。
なんか追い出されたみたいで呆然としました。
PITさんは何か見つけたようで道をダッシュで駆け下りて行きます。私は何故かそ
ちらへは行きたくなかったので、煙草に火を点け一服します。
外の道から見ますと石上神宮の敷地そのものが、一段高く盛り上がっているのが良
く分かります。左上の盛り上がりから水の気と若い女性の気を感じます。
PITさん達が戻って来たので、登ってみますとやはり池があり、奥へ通じています。
人工のもののようでした。
私達は再び本殿前に戻りました。
国定公園の遊歩道を少し歩きます。丁度、森の窪地の辺りでPITさんが「団体さん
が出ていますよ」と言います。
そちらを見ますと、先程、脳裏に浮かんだ老婆がやはり威嚇しています。その顔の
下には靄のようなものがあります。
「ああ、上にいますね」PITさんがそう答えるので、靄に集中すると五人ほどの女性
が見えました。しかし、PITさんが見たのは若い男性だそうです。
二人して見え方が異なったので錯覚かもしれません。
いずれにせよ、私とPITさんでは、微妙にチャンネルの合わせ所が違う事が認識出
来ました。
皆、思い思いに境内を散策します。一人旅の若い女性がガイドブックをチェックし
ています。なんだか凄いポイントをチェックしている。FKYOTOにスカウトしたい方でし
た。杉山さんもしっかりチェックしていたのには笑いました。
そろそろ、宿に向かう時間だなと思っていると、社務所の前で修羅さんが「ねぇ、
これ何?」と尋ねます。
修羅さんが指さした地面には、横幅2メートル位、縦は1メートル程、高さは10
センチ程度の石の囲いがあり、囲いの中には砂が敷いてあります。囲いの北側には榊
の若木が一本植えてあります。
「本殿にもあったよね。なんなの?」
「古い祭祀形式のひとつですよ。砂ではなく、丸石を敷いてある場合もあります。こ
こで榊を伏し拝み、巫女が神懸かるんです」
そう答えたとたん、啓示のように直感しました。
原点に返る。
全てはそこにあると思いました。若い榊を拝むのは、これから育つその生命力を拝
むのです。岩磐で朝日を拝むのは命の恵みに感謝するものです。
神道の基本は「生命」と言う奇跡に感謝し、「生命」を謳歌するものであったはず
です。この石上神宮の森の気の清々しさ、雄神神社の岩磐で感じた風と地脈の心地よ
さ。
それが凝縮されたものが三輪山にはあるのです。
神道は世界でも最も古い宗教の一つでしょう。
その歴史の中で様々な技術が生まれました。道徳観念の変移から、形骸化せざる得
ない儀式・伝承もありました。
私はそれに目を奪われ過ぎていたようです。
素直に「生命」を謳歌するために禊ぎをしていれば良いのです。
少なくとも私程度の人間にはそれで十分です。
修羅さんの一言に深く感謝しながら、私は宿へ向かうのでした。
1997/12/21 AM9:00(晴)
大神神社前駐車場に我々は集合しました。のれんれんさんと探知鬼さんとは初顔会
わせになりますが、何故か初めての気がしません。
私が車から下りた時、探知鬼さんは一人で鳥居の側に立っておられたのですが、い
かにも優しげな気を放っていて、目を引きました。
朝食ににゅうめんを取っておられたM/A-Shadowさんご一家と、徹夜明けのしげさん
が集まり、全員集合です。
夏至の時とは違い、今回の朝の大神神社はごく普通の神社の気と変わりません。
それで安心したのでしょうか? 前回は境内では写真を撮ろうとさえしなかった
PITさんが、記念写真を撮ると言い出します。
今回、三輪は初めての方もおられますので、いったん戻って大神教会からお参りし
ます。ここは宗教として三輪をあがめる特異な場所ですが、境内には特別な気はあま
りありません。京都の蚕の社にしかないとされる三井の鳥居はありますが・・・・・
大神教会から集合場所へ戻ります。途上、M/A-Shadowさんに前日の出来事などを話
しながら、水晶を見せますと、気が抜けているとの指摘を受けます。
「入れ直しておきますね」とM/A-Shadowさんは水晶に気をこめてくれました。
二の鳥居をくぐり参道に入りますと、気持ち良い位に参道はぽっかりと気が抜けて
います。代わりに右側の結界はさらに強度を増しているようで、黒曜石で出来た巨大
な壁がある感覚がします。
大神神社には宗教団体の方が見えられており、修復中でもありますので、空気が雑
然としています。のれんれんさんと探知鬼さんはご神木に興味を示して「白蛇いない
かな?」と覗き込んでいます。
おみくじを引いていた修羅さんが納得いかないと言う表情で、こちらへ来ます。
「どうでした?」と尋ねると「凶だよ」と短く答えて拝殿へ向かいます。後ろ姿から
「私はこんなもの気にしないぞぉ〜!!」と言うオーラを放っていました。
半ば苦笑し、半ば不安を覚えながら、仮設(?)の拝殿へ向かいます。
昨日は山を向いていた監視カメラが今日はきちんと社を向いています。修復中の本
殿の後ろに避雷針が三本立っているのに気付きます。ところが、お飾りのようで、機
能しているようには見えません。
「どういう意図で立てているんでしょうねぇ〜」とPITさんと首を傾げます。
ここから狭井神社へ向かいます。
鎮女池には奥に女性が4体います。PITさんと「いますねぇ」と確認した後、小角
さんに「あそこに出てますよ」と言いますが、見ようとしません。
神主と巫女の方が見えられて、池に餌を撒きます。鯉が集まって来ます。神主さん
は慈愛の微笑みを浮かべながら、巫女さんから餌を受け取りゆっくりと撒きますが、
その目は鯉を見ていません。巫女さんはややひきつった表情です。やはり鯉を見てい
ません。鯉と共に寄って来た別のモノを見ているようです。
舌を巻きながら邪魔にならぬよう狭井神社に向かいます。
狭井神社の階段を登ろうとすると、池で鯉が跳ねる音がしました。振り返ると生首
が池で跳ねていました。
狭井神社の鳥居の辺りで小角さんが顔を強張らせています。
「今、この柱に何かいたか?」と尋ねるので「いましたよ」と答えると、更に顔をひ
きつらせます。
M/A-Shadowさんは登山口の辺りを興味深そうに覗いています。妙な気が漂ってい
ますので、(何事かしら・・・・・)と思いながら、近づいてみますと石の蓋をした井戸が
ありました。
私はその井戸が恐ろしくてなりませんでした。
のれんれんさんの探知鬼さんは、顔色が少々青くなっています。「大丈夫ですか?」
と声を掛けると、微笑を浮かべて頷かれましたが、妙に弱々しい感じでした。「お守
りです」と晴明神社のお守りを渡します。
しげさんはM/A-Shadowさんの息子さんと意気投合したようで、ちゃんばらをして
います。
社務所で受付しますと、今日は参拝者が多いのでたすきが人数分ないそうです。
初めての方にたすきを渡し、登山の注意を促します。
途中、石段があるので足元には注意するよう伝え、先頭は私とPITさん。最後尾は
八雲さんと杉山さんにお願いします。
杉山さんは木刀で素振りをします。かなり気合いが入っているようです。
無事を祈りながら、我々12名は三輪山へと入山しました。
さて、今回のお参りでは私は一切の防御を止めてみようと考えていました。前回は
あからさまな攻撃がありましたが、今回は無いだろうと希望的観測をしていたのと、
メッセージがあるなら、全て受け取ってみようと思っていたのです。
門を潜り、登ってみますと、空気が異様に柔らかい。PITさんに「これでは普通の
登山ですね」と語りかけますと、「やはり今回は歓迎されているのかもしれません」
と嬉しげに答えます。
後方で修羅さんが同じ様な不満を漏らすのが聞こえます。彼女には普通の山では不
満なのでしょう。
「今回は何もないでしょう」と言うPITさんの言葉に深く頷く私でしたが、それはと
んでもない誤りでした。
お滝場へ向かう川沿いの道に出ます。
前回はご神木の根本に多くの蛇の瀬戸物が奉納してあったのですが、綺麗に片づけ
られています。
崖の潅木も綺麗に切り取られ、上が見通せます。唐突に強い視線を感じたので、見
上げますと、上に岩磐があり、その岩磐の上に淡い人型の光があります。若い男性の
ようですが、視線でもって「何をしに来た?!」と強く誰何しますので、心中にて「ただのお
参りですよ」と答えます。PITさんもこれを見上げています。「前回は気付かなかったな
ぁ〜」と言い、「何も睨む事ないでしょうに・・・・・」と独言します。
通り過ぎ後ろを振り返ると、小角さんがやはり上を見上げて硬直しています。
お滝場が近づくと調子はずれの般若心経が聞こえてきました。
酷いものです。聞いていると気分が悪くなります。般若心経で気分が悪くなるのは
初めての事です。
「危ないなぁ〜」PITさんが苦笑しますが、目は笑っていません。
「般若心経も呪法になりますか・・・・・」と答えます。
小角さん、M/A-Shadowさん共に強い不快を示します。早々にここを後にします。
再び山道を登っていますと、右下の崖から気の圧迫があります。見ないように歩き
ます。後でPITさんが言うには巨大な人形があったそうです。
結界が夏至の時とは異なっているのに気付きます。登る方向に向かい右側の結界は
幾重にも強化され、登山道のそこかしかにある岩は、これでもかと注連縄を張ってあり
ます。おかげで道が明るく感じます。
岩の方は結界が不快と見え、八割方内側より注連縄を破っています。
後方を気にしますと、探知鬼さんの顔色が良くありません。
杉山さんは誰もいない後方を気にして険しい表情を見せています。
のれんれんさんとM/A-Shadowさんの娘さんが、しんどそうな顔をしています。
M/A-Shadowさんの息子さんはしげさんと一緒に岩を叩いています。
中途の社にたどり着きます。前回は障気のようなものが漂っていたのですが、今回
は気持ちの良い場所となっています。ただ、宗教団体の方がおられます。祝詞上げて
いたりします。
その気がどうにも気に入りません。どうしようかなと思っていると、若い筋骨たく
ましい山伏が二人来ます。これも気に入らないと思っていると、向こうもそう思った
らしく、警戒の視線を投げてよこします。
嫌気がさした私は、同様に不快な表情をしているPITさんに「戻りますか?」と声
をかけます。修羅さんが「ここまで来たのだから登ろう」と言います。空を仰いでい
たPITさんは何か天啓でも得たのか「行きましょう」と決然と言いました。
ここで一行は再び山道を登ります。
もう直、石段だけど大丈夫かなと思っていると、眼前の光景に私は愕然としました。
石段が無くなっているのです。
「なるほど・・・・・」PITさんが呟きます。「ここまでやりますか」
「まぁ・・・・・」と私は嘆息しました。「これなら、探知鬼さんも登れるでしょうね」
「サービス! サービス! ですね」PITさんは笑いました。
しかし、それでも道の脇にぼんやりと顔が見えていたりします。
M/A-Shadowさんが道端で「お前ね、人をそう睨むもんじゃないよ」と誰もいない
所で話しかけています。
「何やってんすか?」と声を掛けると、笑いながら「言い聞かせないと付いて来るで
しょう?」と答えが返って来ます。「無視した方が無難でしょう」と苦笑します。
すでに見える事を前提に会話している・・・・・
小角さんは素晴らしい木を見つけて喜んでいます。
探知鬼さんはすでに顔色がありません。「大丈夫ですか」と声を掛けると「大丈夫で
す」と答えますが、どうにも元気がありません。
のれんれんさんとM/A-Shadowさんのお嬢さんはグロッキー気味です。もう少し行
けば休憩しますからと励まします。
前回も休憩した中腹の空き地にたどり着きます。
「三神」と書かれた岩を確認します。これは「三神」ではなく、「三靈會」が正しい
事が分かりました。ほっとした表情で休憩する人、元気に棒で岩を叩く人(後で聞く
と、調査していて顔に気付き、その輪郭を棒でなぞっていたそうです)。地面に魔法
陣を描く少女(これは山頂であったかもしれない)。上に待ち伏せる人がいるとおの
のく人。
改めて我々は異常な集団だなと思います。
さて、ここから一気に頂上へと声をかけた私ですが、最初の岩磐の手前でいきなり
やられてしまいました。
右手の岩から黒い煙のようなものに包まれてしまいました。
今回は防御を放棄していたので、まともに来ました。心臓を鷲掴みにされたようで
す。PITさんに「やられました・・・・・」と訴えると、「来ましたか。私は大丈夫です」
と答えて、さっさと先へ行きます。(冷たい・・・・・)
皆、私を追い越して行きます。小角さんが「顔色悪いぞ」と言います。「胸が苦し
い」と訴えると、「俺は大丈夫だもんね!」と呵々大笑して通り過ぎて行きます。(鬼)
皆、何かにせかされるようにさっさと登って行きます。
ついには私と探知鬼さんが最後尾となりました。
(これはリタイアかもしれない・・・・・)
心中そう思いました。
ところが、最初の岩磐が見えたとたん、胸が楽になりました。
ここでは、足が不自由な様子の小学生の息子さんとお父さんが、岩磐の前で座って
祈りを捧げています。お二人とも裸足です。信仰の力を見た気がしました。
奥津岩磐に来ますと体に羽が生えたように軽くなりました。高揚感すらあります。
三輪山は古来から女人禁制であり、オオドシが葬られていると言う説もある御山で
すが、何故か私は女神の気を感じていました。私にはその気は清々しく気分の良いも
のでした。
山の中腹までで、ここまで気の質が変わるのを実感したのは収穫でした。
いよいよ下山となりました。私は時計を見て、多少焦りを覚えました。入山は3時
間以内となっています。時間はぎりぎりでした。
その気持ちが伝染した訳でもないでしょうが、奥津岩磐の周辺で居残っていたグル
ープの下山速度は驚く程早いものでした。
私は体調が万全ではなく、途中でリタイヤ考えるような目にも遭ったのですが、奥
津岩磐周辺の空気が余程良かったのでしょう。体は軽く高揚感が続いていました。そ
んな私の横をしげさんが脱兎のような勢いで駆け抜けて行きました。
「危ないぞぉ〜」と声を掛けたのですが、まるで聞こえないようです。フードを頭か
ら真深く被り、両肩を抱くような感じで駆けて行きます。PITさんが小首を傾げ「本
当に危ない・・・・・」と呟きます。後でしげさんに聞くと何かに追いかけられている気
分だったそうです。
岩磐が視界から消え、やや斜面が急になった辺りで私は違和感を感じました。
地面からの気の質が登りと異なるように思えます。
三人組の黒い影が立ちふさがるように立っています。
(邪魔をする気なのか?)
警戒しましたが、すんなり通してくれます。奇妙な感じがしました。
やはり、登りと下りでは見えて来るモノが違います。何本かの神木は光の柱のよう
に見えます。その中の一本に面白いモノを見つけて、私は遅れているPITさんに声を
掛けました。
「ほら、見て下さいよ」
なにやら後方を気にしている様子のPITさんは、その声に近寄って来ます。
すぐ、どの木なのか分かったようで、側まで寄り、つくづく眺めた後、戻って来て
言います。
「神様って埴輪の顔なんですね」
ここから下って行きますと、さらに山の雰囲気が変わって来ました。空気が密度を増
し、厳しい感じになっています。PITさんが「そろそろ交代の時間ですかね?」と呟きます。
と、唐突に強い風が吹き始めました。山全体が唸りを上げて蠢動していま
す。ぞわりと背筋が総毛立ちました。降りる方向、右側の谷を見ると、谷全体に右回
りの渦が巻いています。渦の中には金色の光源が無数に見受けられます。
(まさに降臨だな・・・・・)
そう思っていますと、正午の時報が鳴り響きました。PITさんが爆笑します。
「神様も時間交代制ですか!!」
奥津岩磐周辺を色々調べていたグループは、M/A-Shadowさん。M/A-Shadowさん
のご長男。杉山さん。虹<2G>さん。小角さん。しげさん。八雲さん。修羅さん。PIT
さん。私です。
このグループは下りで三つに分かれました。
トップがしげさん・小角さん。
真ん中が、M/A-Shadowさん。息子さん。PITさんに私。
中腹の社の辺りで私は小角さんに追いつきました。なにやら悩んでいる様子です。
「どうかしたの?」と尋ねると、叫びたくて堪らないと答えます。ああ、気合いを入
れたいのかと察しがつきましたので、「そういう時はやれば良い」と応えて追い抜き
ます。背後で裂帛の気合いが空気を震わしました。知らない人が聞いたら怖がるだろ
うなと苦笑します。小角さんは晴れ晴れした表情で私に追いつきます。
やがて杉山さんがやや急いだ足取りで追いついて来ました。
「SINさん」やや堅い声で背後から私を呼びます。
「はい?」と振り返りますと。緊張した面もちをされています。
「修羅さんがおかしいよ」
意外な言葉でした。同時に己の迂闊さを呪いました。今回のメンバーでは彼女は一
番安全な方だと思っていたので、遅れても気にもしていなかったのです。
横にいたPITさんの顔から、すっと表情が消えます。
「どうおかしい?」と訪ねると、本来、石段があった辺りで、怖がって降りられなく
なっていると言います。
「修羅さんが怖いって言ったんか?」
「そうだよ。普通じゃないよ。ちょっと来てくれる」
あまり動じた様子を見せない杉山さんですが、流石に動揺の色が見えます。私達が
戻ると、修羅さんはカニさん歩きで虹<2G>さんと一緒に坂を下りた所でした。
修羅さんは杉山さんに向かい「大丈夫」と手を振りますが、顔色も様子もあまり大
丈夫な様子ではありません。
「何が怖いの?」と訊ねると「怖くなんかないよ!」とはね除けます。
こういう時は様子を見るしかありません。後方を気にしながら、私は先に行きまし
た。途中で、平坦な道になります。すると修羅さんが、しげさん同様駆けるような勢
いで私と小角さんを追い抜いて行きます。本人は真っ直ぐ歩いているつもりでしょう
が、酔っているように蛇行しています。
「大丈夫ですか?」と改めて声を掛けましたが、「大丈夫!!」と手を振るだけで、振
り返りもしません。
小角さんが「ちょっとマズイんとちゃう」と呟きますが、私は彼女が向こう気を見
せている間は大丈夫だろうと思っていました。
PITさん・杉山さん・虹<2G>さんは、何故か後方に遅れています。
私もお滝場にさしかかる辺りで急に疲労感が増して来ました。狭井神社の境内に着
いた時点で私はたすきを集めて返却すると、休憩用の椅子に座り込みました。先に下
山した方々も座り込み一様に疲れた表情をしています。
雑談していると小角さんが私の腹を肘で突っつきました。
「ちょっと見てあげたら?」と顎で本殿の方を指し示します。見ると修羅さんは自ら
再度お払いをして、一心に社を拝んでいます。杉山さんが「彼女がああいう事をする
のは尋常じゃないな」と呟きます。
真っ直ぐ立って拝殿を拝む修羅さんですが、その体は前後左右に微妙に揺れていま
す。私は修羅さんの後ろに立ちました。拝む修羅さんの背後から、やはり拝むように
して気の矢を修羅さんの背中に放ってみます。
(・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・??!!)
手応えがまるで無かった事に私は驚きを覚えました。
ボールを物に向かって投げれば、ボールが手を放れてもその軌跡や当たる感覚が分
かりますね。気の矢も同じ事です。何かを拝んでいる時、人は個を強く認識しますの
で気の矢を放つと、その衝撃で憑いているものは霧散します。普通は・・・・・
この時、私が放った気はそこに何もないかのように修羅さんを通過してしまいまし
た。手応えすらありません。
そこに修羅さんが居るのは明確なのに、気の感知では、そこに何も存在していない
のです。
(気の矢が当たらない?!)
驚愕しながらそう思いました。私の気は本殿に入り何かに当たって直角に曲がり天
に向かって消えました。焦りを覚えました。これでは三輪に印を残した事になります
。お参りを終えた修羅さんに再度、直接気のプッシュをしましたが、結局、マッサー
ジ程度の事しか出来ませんでした。無念です。
さて、皆、一様に疲労を訴えます。このメンバーでは一番体力があるだろう八雲さ
んですら、夏至より疲れたと言いますので桧原神社へ行くのは止め、久延彦神社まで
で止めようと言う事になりました。
で、まずは腹ごしらえです。
相談がまとまり駐車場へ向かうと修羅さんが何か貪るように食っています。何を食べ
ているの?と訊ねると「お豆さん」と答えが返ります。PITさん、虹<2G>さんと爆笑してし
まいました。やはり鬼退治にはお豆です。
で、にゅうめんを美味しく頂いた後、大直禰子神社へ向かいます。
ここで写真を写そうとすると私のデジカメはシャッターが降りません。
池の側で杉山さんに「前は私が近づくと水面が雨でも降っているように波立ち男
の子が出て来たんですよ」と話していたら、また泡だって来たのには驚きました。こ
この瓦は何故か烏天狗です。PITさんがここを写した写真を見ると無人で真っ暗であ
った本殿に、あるはずがない灯明が写っていました。
久延彦神社からの景色は素晴らしいものでした。
前回は真っ暗に見えた竹藪の階段も明るかったです。
ここから我々は桜井に戻りました。途中、車で私はPITさんに叫びました。
「見て下さいよ!!」
大神教会のこんもりとした森だけが風に煽られ生き物のように脈動しているので
す。他の神社の梢は僅かにしか揺れていないのに・・・・・
桜井ではミスタードーナツでお茶にしました。
強烈な違和感をこの近代文化の象徴のような店に感じました。まるで異界に迷い込
んだ気分でした。
それほどに冬至の三輪は異界であったのでしょう。
こうして三輪山探訪は終わりました。
が、私には終わりではなかったようです。幻夢や異変が続きました。
引き返せない一歩を踏み出した思いを抱いたのですが、それははずれていませんで
した。