内宮参拝記
(宇治橋) |
(内宮の空) |
みなさん、どうも。
過日、私は妻子を連れて内宮へお詣りへ行きました。
子供は小学校6年生の長男・小学1年生の長女・年長の次女と三人いますので、結
構大移動です。家を出る時は快晴でした。天気予報も雨の心配は無いと言っていたの
で、雨具は用意していませんでした。
宇治山田からTAXIで内宮へ向かったのですが、途中、気になる社が多々あり、身
軽でない我が身を呪いました。
宇治橋の手前でTAXIからおりたとたん、空の色が急変しました。内宮の中心あた
りから龍のように黒雲が涌き、ぽつり、ぽつりと降って来ます。
あまりの急変に妻が「嘘でしょ?」とぼやきます。
「すまん」と反射的に謝っていました。「多分、俺が詣っている間は降るわ・・・・・」
妻はそれで黙ってしまいました。(慣れは怖い)
宇治橋から五十鈴川を見た長女がはしゃぎます。この川は凄く綺麗だと言います。
是非、写真を撮れと言うので命じられるままのアングルで写真に収めます。
長男がここはどういう神様がいるのだと難しい事を訊きます。「日本で一番偉い神
様がいるんだとさ」と答えると、「誰が決めた?」とさらに尋ねます。
本当に・・・・・誰が決めたんでしょうね?
玉砂利を踏みしめて歩いていると、やがて左手に斎館が見えます。特に何も感じま
せん。ここを管理される方々の詰め所のようなものでしょうか?
しばらく行くと小さな太鼓橋があります。ここを渡ると空気が変わります。雨が降
ってきたせいなのか、水気の多い澄んだ空気になります。ああ、神域なのだと身が引
き締まる思いがします。
やがて、右手に五十鈴川へ降りる階段が現れます。ここで禊ぎをするのが本来の姿
だったのかもしれません。子供たちはここが気に入ったようです。長女は「鯉!!」と
歓声を上げます。餌付けされているのか、立派な鯉が多数寄って来ます。長女は金色
の鯉が気に入ったようでしきりに写真に収めろと言います。
確かに清涼で美しい流れの川です。
子供たちはそれこそ飛び込みかねない様子です。
ただ、空が暗いせいでしょうか? 対岸や上流に瘴気を感じます。
内宮には結構悲惨な歴史が隠されているのではないかと勘ぐってしまいました。
少し歩を進めると滝祭宮に行き当たります。なぜか、ここを訪れる参拝客はほとん
どいません。一風変わった社で、社殿はありません。板塀で囲われた場所を拝む形に
なります。祭神は瀧祭大神この辺りの川を治める龍神ですね。かなり気を放っていま
す。ご神体を確認したいところですが、畏れ多い感じで出来ませんでした。
末娘はここがいたく気に入った様子でかなり長い時間一心に拝みます。我が娘なが
ら、堂に入った拝み方です。
一瞬、視野が変わります。娘の姿が「おしん」のような野良着姿に見えます。唐突
に、昔は童女ばかりを内宮に集めていたのではないかと思います。(後日、実際そう
いう時期があった事を教えてもらいました)
しばらく行くと注連縄で囲いだけした空き地があります。社もなにもありませんが
エネルギースポットである事だけは分かります。内宮にはこのように説明も社もな
いのに、人の立ち入りを禁じる場所が多々見られました。監視の目さえなければ、入
って座禅でもしたくなるような場所がわんさかあります。
やはり尋常の場所ではないのだなと感じます。
(風日祈宮橋) |
(島路川) |
やがて右手に風日祈宮橋が見えました。思わず息をのみました。霧雨のせいで靄が
かかった対岸の光景は常世のものとは思えません。原初の神域を望む心地がします。
丁度、もののけ姫で描かれたシシ神の棲む森を望むようです。
この橋は内宮の中でも異色を放っているように感じます。妻子も気持ちがよいと歓
声を上げています。人の手で奇妙な色がつけられていない、純粋な神を感じるのかも
しれません。
この橋は島路川にかかります。五十鈴川と普通の地図では表記されますが、内宮の
パンフレットでは明確に表現を変えています。これは意味がある事だと思います。
内宮守護の最重要結界の役割を担う川です。又、橋から上流を見ますと、神気の強
さが普通ではありません。
川辺に降りて上流へ行きたい衝動にかられますが、流石に戻る自信がありません。
又、警備員に捕まるのは目に見えているので踏みとどまります。
橋を渡りますと風日祈宮に出ます。元寇の際、神風を吹かせたのはここの神だとさ
れています。祭神は級長津彦命・級長戸辺命。
おそらくは内宮でも強力なエネルギースポットで、その管理を息長氏がしていたの
だろうと思います。息長氏は神功皇后を出した霊的氏族です。八幡→神風と繋がる線
も見える気がしますが、ここの神は純粋に風に関わる神なのでしょう。戦に結びつけ
ては気の毒と言うものです。
警備は厳重で監視カメラまであります。
社そのものの気も素晴らしいものですが、それよりも、ここへ気を吹き込む周囲の
山が気になります。上りたいと思いますが、参道を外れる気配を見せただけで警備員
の叱責が飛びます。
素直に社を拝む事にします。
風もないのにシデが良く揺れます。
ここを出る時、まるで射るように小さなものが右目を貫きました。痛みはほとんど
無かったのですが、(やられた・・・・・)と言う気がしたので、家族に見て貰うと右目が
真っ赤になっていました。
参道に戻り内宮神楽殿にて一休みします。ここではお茶が無料で飲めますし、トイ
レもあります。飾ってある写真なども興味深いものでした。
ここから御正宮(いわゆる本殿)へ向かうのが普通なんでしょうが、あちこちに仕
掛けが目立ちはじめます。島路川側の森なんかはかなり怪しい。極めて原初的な神座
がひっそりとあったりします。なんの変哲もなさそうな石垣に注連縄もあります。
(岩磐) |
(参道より古殿地を望む) |
それぞれひっかかりながら進みますと忌火屋敷に進む僅かな距離に時間をかけてし
まいます。ここで路はT字路になります。右へ行くのが御正宮。これが普通です。
私は左へ迷わず進みます。御稲御蔵がありますが、ここはまるで気を感じない。
すさまじいのはその向かいです。森の向こうから強烈極まりない力を感じます。
思わずシャッターを切り、そちらへ行こうとしますが、徹底した結界と立ち入り
禁止。家族連れなので無謀は出来ません。参道を進み、右に折れ、その正体を確かめ
ます。
古殿地でした。
石垣で一段高くなった敷地に石を敷き詰め、中央あたりに小さな社があります。御
正宮が次に移動する場所なんでしょうか?
雨が降っているためなのか、透明度の高い水底に沈んだ神殿を見る思いがします。
その水底の神殿に強い陽光の柱が立っている。
そういうイメージです。
これほどのエネルギースポットはなかなか見れません。つい、ふらふらと近寄りかけ危う
く警備員に羽交い締めにされる所でした。
当然、写真に収めます。
(古殿地:水底のイメージがある) |
(古殿地:階段付近。杭の側に少女がいる) |
この向かいに階段を下りる場所があります。強い龍道が参道に沿う形で通っていま
す。誘われて駆け下りると、又、登りの階段があり社があります。荒祭宮でした。ア
マテラスの荒魂を祭る社です。社右横に先ほどの古殿地と同じ聖域があります。
社がある側より、遷宮用の古殿地のほうが気が強く感じられます。(これは内宮の
全ての社に共通して感じる事でした)
(荒祭宮古殿地) |
長女はここが気に入ったのか駆け回っています。お詣りを済ませてから、皇大神宮・御
正宮へ向かいます。途中、四至神と言う面白い物を見つけます。
古殿地をぐるりと避けて回される感じで皇大神宮・御正宮へ向かいます。ここに至るま
では、参拝客の多さの割に、我々家族のみと言う状況が多かったのですが、流石にここ
は参拝客で混雑しています。写真撮影可能な場所もきちんと定められていました。ほと
んどの人は何の疑問もなく真っ直ぐ御正宮へ向かいます。私は道を挟んで向こうに立てら
れた、妙に黒ずんで見える建築物に興味を覚えます。
近寄ると注連縄で中へは入れぬようにしてあります。島路川を望む縁に当たる所に、小さ
な岩磐のようなものが祭ってあります。 こうやって気を止めるのかと感心します。内宮
のメインの社ではたいてい行われている手法のようです。
御正宮も一般参拝の方が入れる場所は限られています。
奥には、宮比神・興玉神・屋乃波比祈神などがおられるようで、それなりに神気があり
ますが、結界が強すぎるのか、一般参拝者の入れる範囲は邪気が溜まって心地よいものでは
ありませんでした。
荒祭宮まで戻り、参道の帰り道をたどります。
途中、面白い気を感じたので分け入ると、御池が見えましたが、こちらも近づかぬよう
立ち入り禁止にしています。御池は手水舎の方向からしか望めぬようにしてあります。
内宮全般に言える事ですが、参拝経路はもちろん、拝む方向まで、がちがちに縛りがか
けられていました。
あくまで私見ですが、内宮は極めて強力な聖域であり、そこに日本書紀に現れるような
人格神はいないと感じます。
ここの霊的パワーを余すことなく保存しようとした結果が現在の姿なのかもしれません。
内宮参集殿まで戻ると、神域から出た事を実感出来ます。なにより雨がきっぱりと止ん
で青空が広がるのが笑えます。
さらに足を延ばすと、子安神社(コノハナサクヤ姫を祭る)と大山祇神社がありま
すが、妻子がおかげ横町へ遊びに行きたいと騒ぐので行くのは断念しました。(T_T)
妻子をおかげ横町の土産屋に置いて、私は、来た時に気になった宇治橋の向こう、
駐車場の奥にある神社へ短時間での特攻を行います。
饗土橋姫神社・旧林崎文庫(神宮の学問所)が目標です。
何故か立入禁止が多いですが、MSポイントとしては秀逸でした。
私は歴史的知識は皆無ですので、内宮の成立や神々に語る資格はありません。
ただ、感じたのは倭姫と言う偉大な巫女が、竜神の導きの下、神聖で最大の祈りの
場として、この地を選んだのだなと言う事でした。