東京から大阪に引っ越して来た友人が言った。「近畿にミズハノヒメを祀る神社はないのか?」 記憶を手繰って見たが、摂社で祀られている例しか思い浮かばないと告げた。 数日後、その友人から連絡があり、泉北の櫻井神社を知っているかと言う。 勿論、知っている。堺で唯一の国宝指定の拝殿がある気持ちの良い神社だ。 つい先日も、新ちゃんさんを連れて訪れている。その時は祭神を確認していない。櫻井神社の名の由来は、遙かな昔に、「サライ」と言う名の神水湧き出る場所があり、それを井戸として周囲に神殿を造って神社としたが、大洪水で神水の場所は分からなくなり、櫻井神社の名前が残ったと言う。 また、元来は武内宿禰の墓所で、そこに神功皇后と誉田天皇を祀ったと言うトンデモない伝聞もあり、古老達は八幡さんとも呼ぶと言う。 「サライ」とは古代ペルシャ語で宮殿の意味だそうだ。サライの井戸は結構全国にあるが、なぜか古代ユダヤ教の痕跡が残ることが多い。 理由は知らない。ただ、経験上、そう言うことが多いのだ。 友人は土地勘がない。「連れて行ってくれないか?」と言うのを快諾した。 そして、櫻井神社の手前で、曲がる道を間違えた。 川の側に赤い鳥居が見えた。 友人が見て来ると言う。確かに惹かれる気を放っていた。 櫻井の名の由来のサライの井戸の複製を祀っている。 レプリカと銘打ちながら、この気はなんだろう? 離れてから撮った写真には靄が写っていた。 友人は全うに写るので、首を傾げていた。
櫻井神社は国宝があるにしては、こぢんまりとした門構えだ。 門を潜ると、左手にえらく大きな社務所がある。 右に神輿を修める小屋があり。 「人形お断り」と貼り付けている。 何があった?>櫻井神社。
煙草の吸える休憩所があるので、僕はそこに腰を下ろし、 友人は国宝の朱塗りの拝殿所を抜け、木の柵で囲った奥へ 手を伸ばしている。 休憩所には多数の絵馬がある。その殆どがジャニーズのコン サートチケットが当たることを祈願している。 この鄙びた神社は何故かジャニーズのチケットが当たる功徳 があるようだ。 屋根裏の巨大な鬼面とそぐわず面白い。 休憩所には、先客がいた。 20代とおぼしき可愛い女性二人で カメラのデジタル画面を見ながら、 「これ、おかしいよ」「うん。写ってる」 等と会話している。 なんだ、仲間かと思う。 友人が戻って来て、ミズハノヒメは祀られていたと言う。 「これ、どう思う?」 水晶玉を出す。透明度が上がり、重くなっている。 水の波動が感じられた。 「入ってるね」 「だろう? やっぱりか。ちょっと来てくれ」と言う。 主祭神を祀る社を守る柵から手を伸ばしてみろと言う。 伸ばして見ると、体感で5度程気温が低い。 「へぇ、本物の聖地だな」と答えた。 「入ったら、ダメかな?」 「監視されていると思うよ」 僕は背後の二階建てで漆喰と板張りの大きな建築物を見て答えた。 |