三輪山登頂記 by 探知鬼さん

 

(SIN注:当時FKYOTO/MES/7においてアップして頂いた内容を極力更正しておりません)


 だいぶ時がたってしまいましたが、冬至にいった三輪山について、うちのダンナが
 やっとレポートを書いてくれたのでここにアップ致します。
 (ダンナに言わせると怖い目にあったことは記憶から抹消しようと意識が働くそうで、
 それで書くのが遅れたそうな‥‥)
 ではではよろしく(^_^)


●ひょんな事から今回同行させてもらった、のれんれんのダンナですm(_ _)m

 私達は2日めにこのツアーに参加させてもらいました。
 2日めの早朝集合に間に合わないおそれから前日奈良に来た私達は、
 時間があった事から三輪さんでの無事を祈るのもかねて、まず春日神社に
 お参りする事にしました。
 鹿がうろうろしているのを横目にみながら表参道を踏み歩き、奥へ進みます。
 本殿へ入る手前に小さな磐座?みたいなのが目に入りました。
 「これがSINさんの言っていた石だよね。」
 としゃべりつつ門をくぐります。
 正面に拝殿があり、何人かが祝詞か何かを唱えています。
 二人でおさいせんを上げキョロキョロしましたが、私はどうも右後方が気になって
 仕方ありません。拝殿右には色々な神様がいますが、それとも違うようです。
 「一体何だろう?」と思いつつ再び門をくぐり、違う参道をたどる事にしました。

 それに引き寄せられたのかもしれません。
 気になる何かとは奥におられる若宮さんでありました。しかしただ気になる
 というだけで、これ以上のものは感じられません。
 この近くには偶然三輪さんも祭られており、ここで明日よろしくとお参りを
 すませました。

 この後は奈良町をうろつき、ここは猿の町とヨメさんから聞かされていた私は
 内心嫌がりつつも庚申堂や御霊神社など、濃い場所も見て回りました。
 庚申堂付近は猿ぼぼや見ざる聞かざるが待っており、鈴なりの猿ぼぼは
 それなりに圧巻とも言うべきシロモノです。
 御霊神社は京都の御霊さんに比べるとあれほど暗くなく、怖い感じは全然
 しません。ここいら一帯が観光化され、明るい感じになっているからでしょうか。
 他にも道祖神社があり、ここに磐座?らしきものがありました。

 次の日、私達は電車にのって三輪へと向かいました。
 駅についたらこんな朝早くに、どこへ行くのか家族4人が私達の前を歩いていました。
 (後になってわかったけど、Shadowさん一家でした)

 神社入り口付近で待つことしばし。
 やがて車に乗ったメンバーの皆さんが次々ここにつき、挨拶を交します。
 われわれはもう見るからに立派なアヤシイ探検隊です。
 しばらくしてから本来の三輪山参拝の形式をたどるため、大鳥居ではなく
 側にある別の鳥居から歩を進めました。
 私が敏感体質?であるため、SINさんは晴明神社のお守りを貸してくれ、
 ここでのお参りをすませてから、全員で三輪さん登頂へと向かいます。
 参道を歩き、本殿が見えてきますが、本殿は補修工事をしているのか見えません。
 左手に進むと真新しいもう一つの本殿が出来ています。
 その奥を進み狭井神社に近づくにつれ、私の左肩から二の腕がちくちくと
 痛くなって来ました。腕の内側のようで、昔、子供の頃この部分が肉離れを
 起こした事を思いだし、眉をしかめます。
 しかし山に入る前に幣で体をはらったら、何故か痛みがすっととれました。

 皆さんと登りはじめまず最初の磐座に着きましたが、これを見た瞬間
 (うわぁー、うわあぁー!)と体がひきまくりました。
 薄暗い所にあったせいか何か非常に近寄りがたい雰囲気でしたが、皆さん
 足が早くすぐそこを通り抜けて行き、私は足は大丈夫でしたが体が重く、
 「こりゃついていけるかな‥‥」と思いはじめたのです。
 それでも登るにつれ、日差しのある場所にさしかかると雰囲気が明るく変わる
 のがわかり不思議でした。

 以前見た映画・タルコフスキーの「ストーカー(密猟者)」で、ある地域が
 「ゾーン」と呼ばれ何か秘めたる力を帯びているというのがあったのですが、
 そこでは現実の風景が特別の意味を持つという意味があり、そんな映画と
 三輪山が奇妙にだぶってきて実際にそういう場所があるのだと驚きました。

 ようやく頂上に着き、磐座の横を通った時にまた肩の痛みがピークに達し、
 先に進んで行った皆さんと別れShadowさんの奥さん、娘さん、うちのヨメさん
 と下に降りる事にしました。
 下りは楽でしたが、ヨメさんは後の方にいて何度も離れてしまい、気のせいか
 足が早くなり何故か陰惨な雰囲気を感じ、聖地のはずなのに変だな?と
 思いつつ、そのとき心に浮かんだ言葉は「残虐」でした。
 やっと降りてきて見えた狭井神社が三輪山との比率といったものでしょうか、
 (神道という形でしか祭り方がないのかもしれませんが)ちぐはぐな感じがし、
 これだけでは収まり切れないモノが三輪山にはあるような気がして
 なりませんでした。

 途中、疾風のように(?)駆け降りていったしげさんは、早々スナック菓子を
 ぽりぽりやっており(^^)私とヨメさんはトイレへと行き、先にすませた私が
 社務所付近でまっていたら気がゆるんだのでしょう、急に胸に悲しみが込み上げ
 てきたのです。あっ、イカン!また大泣きしてしまう、と何とかこらえて
 SINさんに借りたお守りを手に持ち、平静を保つよう努力しました。
 目頭をうるませながら‥‥。

 私の今回での印象ですが、三輪山は半分「あの世」でありました。
 太陽が死にそしてよみがえる。冬至を身をもって経験してしまい、
 冬至といえばカボチャくらいにしか見ていなかった私には驚きの連続でした。
 次の朝、電車のラッシュで、生きている人間に囲まれた時に訪れた安心感に
 私は思わず笑みを浮かべたのであります。

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