裏三輪オフ

2006/06/24

奥不動寺から三輪へ至る山道に咲いていた百合。もっと綺麗に撮りたいものだ。

 

 突き抜ける蒼い空。澄んだ太陽の光を浴びながら、水底のような光の中の蒼い岩磐とパス(契約)を通す自分。
 チャットで裏三輪オフが決まった時、そんなイメージが明確に浮かんだ。
 だから雨なんかは考えもしていなかった。
 私が幹事のオフだったのだが、「雨の時、どないするん?」と突っ込まれた時、頭の中が真っ白になった梅雨のまっただ中である。当
然の質問だった。だが、私は三輪の「隠し岩磐」へ行くことしか考えていなかった。まぁ、それほどに「隠し岩磐」からの呼びかけが執拗
だった訳だが・・・・・
 幹事の私が脳停止状態だったので、雨天の際の行動は決まらず、雨天の際は中止にする事になった。決行か否かは早朝に私が判断
して連絡することになった。
 参加者は、みつさん・加賀見さん・まゆりさん・565さん・KAWAさんである。
 行程は奥不動寺→三輪山頂→白山→笠そば(昼食)→石上神社→桃尾の滝。予想外に筋の通った行程になった。
 人数を限ったのは、このコースが禁足破りそのものであるので、自己責任で処理出来る方に絞ったからだ。それに、大勢で行くと神気
が損なわれる。経験上、神域を巡るオフは五人前後が望ましい。
 ここで、読んで下さっている皆様に身勝手なお願いがある。
 私たちの真似をして奥不動寺から三輪山へは行かないで欲しい。
禁足破りは確実に罰を被る。そして現実的な問題として目印がないの
で遭難の危険があるのだ。奥不動寺の奥様の話によれば、一年に何人か遭難者が出るそうだ。「三輪はほんまに怖い御山ですえ」とおっ
しゃっておられた。
 さて、今回、私は参加者の皆さんにあるお願いをしていた。

『私が隠し岩磐に行っている間は小一時間程一人っきりにして欲しい』

 禁忌の中で、なお隠される岩磐。それが「隠し岩磐」だ。そこで行う儀式は秘中の秘である。邪魔をされると命に関わる。幸い、皆さん理解
してくれた。
 後は当日の天気のみが問題だった。
 六月二四日早朝。目覚めるなり私は快諾を叫んでいた。直感の通りピーカンの青空だった。
 オフ決行である。
 私と加賀見さん、まゆりさんは学園前でみつさんの車に拾ってもらい奥不動寺に向かった。みつさんは廃墟やミステリースポットに鼻が
きく。加えて天然のナビを備えているので、迷わず目的地に行かれる方である。今回も三輪への山道が分かると言うのでナビをお願い
した次第だ。みつさんが居なければ裏三輪オフは成立しなかった。(-人-)多謝。
 さて集合場所の奥不動寺の駐車場に一五分ほど遅れて着くと、もう565さんの車がある。
 待たせちゃったかなぁ〜と車を降りると、呆然としてタバコをふかしているKAWA氏の姿があるが、565さんがいない。
 KAWA氏に訊くと、ご住職に捕まり本堂で話を聞いているとのこと。
(人徳だなぁ〜(^^;)
 と思いながらも隠し岩磐にパスを通すには午前中に行わねばならない。
 無礼と思いながら、本堂の障子戸を開けて、565さんを拉致。和尚さんに一礼して、三輪へ直行。
 みつさんが分岐点まで先導してくださる。
「こっちの道が三輪へ通じると思うんですが・・・・・」
 と言われるや否や、周囲を無視して特攻する私。(^^;
 加賀美さんが「ホンマに幹事の自覚ないなぁ〜」と苦笑しておられる声を背中にうけながら、ひたすらトップを走る。
 とにかく、一刻も早く「隠し岩磐」へ行きたかったのだ。
 なだらかな山道を半刻も歩くと奥津岩磐へ出る。
 流石に奥津岩磐! 神気がどんと来る。やはり三輪は並の神山ではない。
 その奥津岩磐に、気もそぞろに頭を下げて、一人山頂へと向かう。山頂の社に頭を下げて、隠された道を下りる。
 三輪の本来の神気とは違う蒼い水底のような気を放って隠し岩磐が姿を見せる。
 恋人に長時間待たされた若い女性が拗ねるような気配が来る。
 場を整えて神具を配置し、まずは不義理を詫びる。本来なら年2回は最低行かなければならない場所だ。契約が
希薄になっている。
 結跏趺坐して瞑想に入る。全身に虫が這うような感触に襲われる。これは私の汚れ。陽の光と神具を通じて、頭頂
から神気を入れて、汚れを払い流す。一度始めた儀式に中断は許されない。岩磐と私の体にパスを通し治す。
 修行不足と私の汚れで、パスは中々通らない。一心に呪を唱える。真言が私の体を一本の柱に変える。
 パスが通ると、せせらぎの音が耳朶を撫でる。清らかな水気を含んだ涼しい空気に包まれる。
 そして「その滝」を幻視する。パスは通った。
 ゆっくりと禅定を解き、現世に戻ってくる。法具をしまい、皆に合流しようと歩を踏み出すのと、加賀見さん達が様子を
伺いに下りてくるのは同時だった。良くタイミングを読むと感心する。
 皆、隠し岩磐にわらわらと群がる。(^^;
 565さんが位置関係を気にしているので、「この道まっすぐ下りたら桧原神社へ行くんですよ。だから桧原神社の奥の院
じゃないかな?」と適当なことを言うと、「ああ、なるほど」と納得された。・・・・・いや、突っ込み所なんですけど・・・・・まぁ、良い
けど。
 奥不動寺へ戻る。
 565さんは住職さんに話の続きを聞きに行くと一人本堂へ向かわれた。
 我々は、お寺の駐車場で休憩する。
 私は自らの手に異常を発見した。手首から血が流れ、乾いて一本の線になっている。刻印だ。痛みもかゆみもない。只、
朱色の線が刻まれていた。

令呪・・・・・バキッ(.☆)\(^^; ではなく、刻印。むろん偶然と考えるのもあり。

「うわ! 印しつけられてる!」と騒ぐと、加賀見さんが「誰か血を見る奴がいると思ったが、あんたやったか」と切り捨てる。
 あの「血を見る」ってどういう意味ですか?(T_T)
 そうこうするうちに565さんがお寺から戻ってくる。
「どんなお話でした?」と尋ねると「いやぁ〜 面白かったですよ。なぜ、このお寺が日本最古のお不動様なのかとか・・・・・」
「なんでやの?」
「本殿の下に洞窟があって、そこにお不動様が彫ってあるんですよ。なんでも神武天皇が纏向の地を治めた時に、三輪山
の鬼門の守りとして彫ったそうです」
「へぇ、そりゃ興味深いねぇ〜」
 ・・・・・
 って、ちょっと待て。
「それって、神武天皇以前にすでに仏教が日本に入っていたってこと?」
「そうなりますね〜」笑顔で答える565さん。
 まったくこの辺りの伝承は正史をを覆すものが、ごろごろしているんだから・・・・・
 で、前回「他所の女と浮気しちゃ、ダメ」と止めが入った白山へ登る。
 

いきなり石灰岩のもろい白の山肌に変わる。

 前回、登った息子が「いきなり気が変わる」と感心していたが、確かにいきなり現れる白い光景には驚かされる。
 誰かが金鉱脈が走っているのではないかと言うがそれも納得出来る光景だった。
 社こそないものも、ここには纏向一帯とは別系統の女神がいる気がした。

 で、12時の時報もとうに鳴ったし、急がないと桃尾の滝へ回る時間も無くなると言うことで、笠荒神裏手の笠蕎麦
へ遅めの昼食を取りに行く。
 私は写真のネギ蕎麦を頂いたが、みんな、良く喰う。もう一つなにか頼んでる。運転手がビール飲んでるし・・・・・(^^;

 笠蕎麦のネギ蕎麦。無農薬の手打ちのお蕎麦。卵も堅くて腰があって美味しかったです。

 食後、565さんが笠荒神さんの本殿に挨拶だけしときたいと言うので、皆でぞろぞろとご挨拶へ。
 ここの本殿は相変わらず気が立っている。
「なんか、本殿下にでかい岩磐でもありそうだなぁ〜」と独りごちると、565さんが「ですよね! 気が立ってますよね!」と同じ
感想を漏らした。
 途中、色々あったが桃尾の滝の駐車場に到着。
 車から降りて、道へ出ると凄まじい量のオルゴンがシャワーのように降り注いでいる。こんなの狭井神社でも滅多にない量で
降っている。
 565さんに「見えます? 凄いオルゴンですよ」と言うと「あの光の雨みたいな奴ですか?」と返される。
「オルゴンは霊感なくても見えますから」と答えて、道を下って石上神社へ。
 石上神宮あっさり無視して石上神社へ行くのは偏屈者の私らしい。
 加賀見さんが「裏道から行かないの?」と言うのに「いや、筋は通す」と答えて、正面鳥居へ回る。
 鳥居を前にすると神気がずんと来た。これは来てるなと思いながら写しますよとシャッターを切る。

石上神社。鳥居の内側に大きな少女の顔があります。(^^;

 お出迎えの少女が写っていた。ここを詣っているうちに、加賀見さんの様相が変わっているのに気づく。身長も低くなり
可憐な美人になっていた。バキッ(.☆)\(^^;
 石上神社を抜けて、再び坂を戻る。
 桃尾の滝は、先日来の雨量もあり、見事な涼気を放っていた。
 実に盛観。写真を撮ると・・・・・

いきなり巨大オーブのお出迎え・・・・・(^^;
んでもってオーブ乱舞

 この日、このとき、ここは確実に有数の聖地になっていたのである。
 565さんは喜んで滝行したかのように、全身水浸しになりに行っていた。
 こうして聖地巡礼は幕を閉じたのだ。
 運転手・ナビゲーターしてくれた、みつさん、565さんに感謝したい。

 

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