怖い話 第8集


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【ありふれた話】舞う金粉

 友人が趣味でタロットカードを学んでいる。
 学べば学ぶ程、その奥深さと怖さに身が引き締まると言う。
 京都のタロットカードやパワーストーンを売る小さな店の店主を先生にして、月に一回
勉強会があり、友人はここ五年かかす事無く通っている。

 店の奥の小さな事務所に5,6人から10人近く集まるらしい。そう言う世界に取り組
む方々だから、大なり小なり不思議体験があり、勘の鋭い方々が集まる。

 その友人から「凄いんだ。凄いんだ」と言い気負い込んで電話があった。
「まぁ、、落ち着け」となだめて、話を聞いた。

 店で七人ほど集まり勉強会をしていたと言う。
 店主がカードを選んでテーブルに並べ、それぞれがそのカードの意味を議論する形で行
っていたと言う。すると、中空から雲母の様な金粉が舞いながら降って来たと言う。
 金粉は肌に触れると淡雪の様に消えたと言う。
「なぁ、凄いだろ?」
 興奮して友人は言う。
「ああ、どんなカードが出たんだ? ケルト十字法か?」
 店主と知己のある私は尋ねた。
「良く覚えていない。なんか女神のカードが多かった」
 駄目じゃないかと思った。テーブルに展開されたカードの意味が分からないと、何故、
金粉化現象が起きたのか分からない。そもそも金粉化現象は瞑想していても希に起きる。
 瞑想を解いて、肌を見ると、雲母の様な金粉が文様の様にへばりついている事はままあ
る。初めての時は驚くが、修法に不思議はつきもの。いちいち騒ぐものでは無いと教えら
れている。
 普通の人には驚愕の出来事かもしれないが、精神世界に関わっていればありふれた話な
のだ。

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